シトクロムbとは? わかりやすく解説

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シトクロムb

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/16 01:28 UTC 版)

ミトコンドリアシトクロムbc1複合体
識別子
略号 Cytochrom_B_N
Pfam PF00033
InterPro IPR005797
PROSITE PDOC00171
SCOP 3bcc
SUPERFAMILY 3bcc
TCDB 3.D.3
OPM superfamily 3
OPM protein 3h1j
CDD cd00284

シトクロムbcytochrome b, CYB, CYTB)は呼吸鎖複合体IIIのサブユニットで、ヘムbプロトポルフィリンIX鉄)を含むヘムタンパク質である。

機能

真核生物ミトコンドリアや好気性原核生物において、呼吸鎖複合体III(bc1複合体)のサブユニットとなっている。この複合体はキノールを酸化してシトクロムcを還元するとともに、膜を挟んでプロトンを輸送しATP合成に使うプロトン勾配を形成する。[1]

構造

おおよそ400アミノ酸残基から成る、8回膜貫通タンパク質である。補欠分子族として2つのヘムbb562b566)を結合している。[2]

系統解析

真核生物のシトクロムb遺伝子はミトコンドリアDNAにコードされており、その配列の差異を利用して生物間の系統解析を行うことができる。の内部での系統関係を求めるのに有効だと考えられている。[3]

医学上の重要性

シトクロムb遺伝子に変異が起きると、運動不耐やより深刻な疾患を引き起こすことがある。[4]

抗マラリア薬アトバコンは複合体IIIを標的としており、マラリア原虫のシトクロムb遺伝子に変異が入ることでアトバコン耐性が獲得される。[5]

参考文献

  1. ^ Blankenship, Robert (2009). Molecular Mechanisms of Photosynthesis. Blackwell Publishing. pp. 124–132. 
  2. ^ Esposti et al. (1993). “Mitochondrial cytochrome b: evolution and structure of the protein”. Biochim. Biophys. Acta 1143 (3): 243–271. doi:10.1016/0005-2728(93)90197-N. PMID 8329437. 
  3. ^ Castresana, J. (2001). “Cytochrome b Phylogeny and the Taxonomy of Great Apes and Mammals”. Molecular Biology and Evolution 18 (4): 465–471. doi:10.1093/oxfordjournals.molbev.a003825. PMID 11264397. http://mbe.oxfordjournals.org/cgi/reprint/18/4/465. 
  4. ^ Blakely et al. (July 2005). “A mitochondrial cytochrome b mutation causing severe respiratory chain enzyme deficiency in humans and yeast”. FEBS J. 272 (14): 3583–92. doi:10.1111/j.1742-4658.2005.04779.x. PMID 16008558. 
  5. ^ Siregar et al. (June 2008). “Mutation underlying resistance of Plasmodium berghei to atovaquone in the quinone binding domain 2 (Qo(2)) of the cytochrome b gene”. Parasitology International 57 (2): 229–32. doi:10.1016/j.parint.2007.12.002. PMID 18248769. 

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