ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ
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ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ(ubiquinol-cytochrome-c reductase)またはシトクロムbc1複合体(cytochrome bc1 complex)もしくは単に複合体III(complex III)は、電子伝達系の3番目の複合体で、生化学的なATP合成(酸化的リン酸化)において重要な役割を担っている。複合体IIIは、ミトコンドリア遺伝子(シトクロムb)と核遺伝子(それ以外のサブユニット)の両方にコードされているマルチサブユニット膜貫通リポタンパク質である。複合体IIIは、全ての動物のミトコンドリア、全ての好気性真核生物、およびほとんどの真性細菌の内膜に存在する。複合体IIIの突然変異は、多系統疾患や運動耐容能低下の原因となる。
- ^ Iwata S., Lee J.W., Okada K., Lee J.K., Iwata M., Rasmussen B., Link T.A., Ramaswamy S., Jap B.K. (1998) Complete structure of the 11-subunit bovine mitochondrial cytochrome bc1 complex. Science 281: 64-71
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- ^ Nicholls, David and Stuart Ferguson. Bioenergetics3. Acociate Press: San Diego, California 2002. pg 114-117
- 1 ユビキノール-シトクロムcレダクターゼとは
- 2 ユビキノール-シトクロムcレダクターゼの概要
- 3 阻害剤
複合体III
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詳細は「ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ」を参照 複合体IIIでは複合体Iあるいは複合体IIにて生じたユビキノールを酸化してスカラー反応(膜の内側で還元反応が起こり、それによって膜の外側で酸化反応が起こってプロトンを間接的に放出する機構)によってプロトンを膜外に放出する。反応式は以下の通りである。 ユビキノール+2シトクロムc (Fe3+) +2H+in → ユビキノン+2シトクロムc (Fe2+) +4H+out 電子伝達体としてシトクロムcの還元型を生じ、次の複合体IVに電子伝達を行う。 複合体IIIでは、ユビキノンサイクルが非対称なプロトンの吸収/放出によってプロトン勾配を作る。QO部位のユビキノールから2つの電子が除かれ、膜間空間に位置する水可溶電子キャリアであるシトクロムcに伝達される。続いて別の2つの電子はQi部位に至り、ここでユビキノンのキノン部分がキノールに還元される。プロトン勾配は、QO部位でのキノールの酸化で形成され、Qi部位でキノールを形成する(合計で6つのプロトンが移動する。2つがキノンをキノールに還元し、2分子のユビキノールから2つのプロトンが放出される)。 アンチマイシンA等の作用で電子伝達が減ると、複合体IIIから酸素分子に直接電子が渡るようになり、超酸化物が形成される。 複合体IIIはユビキノールからシトクロム cに電子伝達を行い、正しくは「ユビキノール:シトクロムc 酸化還元酵素」と呼ばれる。好気呼吸を行う真核生物はすべてミトコンドリア内膜に複合体 III を所持している。また、葉緑体のシトクロム b6/f 複合体は複合体 III に対応する。現在、ウシシトクロム bc1 複合体の立体構造が明らかになっている。複合体 III の構成は以下のようになっている。 シトクロム b(ユビキノールの酸化を行う) リスケ鉄硫黄タンパク質 シトクロム c1(シトクロム c に電子伝達を行う) 葉緑体ではシトクロム b のヘムが b6 であり、シトクロム c1 の代わりにシトクロム f およびサブユニット IV が結合している。 電子伝達は以下の手順で行われる。 ユビキノール → リスケ Fe-S タンパク質 → シトクロム cFe2+ ただし、シトクロム b でのスカラー反応により、以下の電子伝達も行われる。 ユビキノール → ヘム bL → ヘム bH → リスケ Fe-S タンパク質 → シトクロム cFe2+ 複合体IIIはシトクロム b を起源に Fe-S タンパク質およびシトクロム c が付加されてできたとされている。
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