複合体IIIとは? わかりやすく解説

ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ

(複合体III から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 00:16 UTC 版)

ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ(ubiquinol-cytochrome-c reductase)またはシトクロムbc1複合体(cytochrome bc1 complex)もしくは単に複合体III(complex III)は、電子伝達系の3番目の複合体で、生化学的なATP合成(酸化的リン酸化)において重要な役割を担っている。複合体IIIは、ミトコンドリア遺伝子シトクロムb)と遺伝子(それ以外のサブユニット)の両方にコードされているマルチサブユニット膜貫通リポタンパク質である。複合体IIIは、全ての動物のミトコンドリア、全ての好気性真核生物、およびほとんどの真性細菌の内膜に存在する。複合体IIIの突然変異は、多系統疾患や運動耐容能低下の原因となる。


  1. ^ Iwata S., Lee J.W., Okada K., Lee J.K., Iwata M., Rasmussen B., Link T.A., Ramaswamy S., Jap B.K. (1998) Complete structure of the 11-subunit bovine mitochondrial cytochrome bc1 complex. Science 281: 64-71
  2. ^ Kramer, D. M.; Roberts, A. G.; Muller, F.; Cape, J.; Bowman, M. K. Q-cycle bypass reactions at the Qo site of the cytochrome bc1 (and related) complexes. Methods Enzymol. 382:21-45; 2004. PMID 15047094
  3. ^ Crofts, A.R. (2004). The cytochrome bc1 complex: function in the context of structure. Annu Rev Physiol. 66, 689-733. PMID 14977419
  4. ^ Nicholls, David and Stuart Ferguson. Bioenergetics3. Acociate Press: San Diego, California 2002. pg 114-117


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複合体III

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電子伝達系」の記事における「複合体III」の解説

詳細は「ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ」を参照 複合体IIIでは複合体Iあるいは複合体IIにて生じたユビキノール酸化してスカラー反応(膜の内側還元反応起こり、それによって膜の外側酸化反応起こってプロトン間接的に放出する機構)によってプロトンを膜外に放出する反応式以下の通りである。 ユビキノール+2シトクロムc (Fe3+) +2H+in → ユビキノン+2シトクロムc (Fe2+) +4H+out 電子伝達体としてシトクロムc還元型を生じ次の複合体IV電子伝達を行う。 複合体IIIでは、ユビキノンサイクルが非対称プロトン吸収/放出によってプロトン勾配作るQO部位ユビキノールから2つ電子除かれ、膜間空間に位置する可溶電子キャリアであるシトクロムc伝達される続いて別の2つ電子Qi部位至り、ここでユビキノンキノン部分キノール還元されるプロトン勾配は、QO部位でのキノール酸化形成されQi部位キノール形成する合計6つプロトン移動する2つキノンキノール還元し、2分子ユビキノールから2つプロトン放出される)。 アンチマイシンA等の作用電子伝達が減ると、複合体IIIから酸素分子直接電子が渡るようになり、超酸化物形成される。 複合体IIIはユビキノールからシトクロム c電子伝達行い正しくは「ユビキノールシトクロムc 酸化還元酵素」と呼ばれる好気呼吸を行う真核生物はすべてミトコンドリア内膜に複合体 III を所持している。また、葉緑体シトクロム b6/f 複合体は複合体 III に対応する。現在、ウシシトクロム bc1 複合体立体構造明らかになっている。複合体 III の構成は以下のようになっているシトクロム bユビキノール酸化を行う) リスケ鉄硫黄タンパク質 シトクロム c1シトクロム c電子伝達を行う) 葉緑体ではシトクロム bヘムb6 であり、シトクロム c1代わりにシトクロム f およびサブユニット IV結合している。 電子伝達は以下の手順で行われるユビキノールリスケ Fe-S タンパク質シトクロム cFe2+ ただし、シトクロム b でのスカラー反応により、以下の電子伝達行われるユビキノールヘム bLヘム bHリスケ Fe-S タンパク質シトクロム cFe2+ 複合体IIIはシトクロム b起源Fe-S タンパク質およびシトクロム c付加されてできたとされている。

※この「複合体III」の解説は、「電子伝達系」の解説の一部です。
「複合体III」を含む「電子伝達系」の記事については、「電子伝達系」の概要を参照ください。

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