アトバクオン
アトバコン
【概要】 アトバコンは一般名、化学名はNaphthoquinone、商品名はメプロン、発売はウェルカム社。250mg/錠、189錠/瓶と750mg/5mLの液剤。日本には導入の予定がなく、エイズ治療薬研究班から入手する。
【効能】 ST合剤の服用困難例あるいは無効例で、軽症ないし中等症のニューモシスチス肺炎に対する二次選択薬。ニューモシスチス肺炎以外ではトキソプラズマ脳症、ミクロスポリジウム症が検討中。老人、妊婦、授乳婦では勧められない。
【用法・用量】1回3錠1日3回(1回750mgを1日3回)食直前または食直後に服用、21日間。
【薬物相互作用】リファンピシンやフルコナゾールを併用すると、アトバコンの血中濃度を下げる。
《参照》 ニューモシスチス肺炎、 トキソプラズマ脳症、 希少医薬品、 エイズ治療薬研究班

アトバコン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/21 22:47 UTC 版)
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IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
販売名 | Mepron |
Drugs.com | monograph |
MedlinePlus | a693003 |
法的規制 | |
投与経路 | oral only |
薬物動態データ | |
半減期 | 2.2 to 3.2 days |
識別 | |
CAS番号 |
95233-18-4 ![]() |
ATCコード | P01AX06 (WHO) |
PubChem | CID: 74989 |
DrugBank | DB01117 ![]() |
ChemSpider | 10482034 ![]() |
UNII | Y883P1Z2LT ![]() |
KEGG | D00236 ![]() |
ChEBI | CHEBI:575568 ![]() |
ChEMBL | CHEMBL1450 ![]() |
化学的データ | |
化学式 | C22H19ClO3 |
分子量 | 366.837 g/mol |
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アトバコン(AtovaquoneまたはAtavaquone)はナフトキノン誘導体に属する化合物であり、ニューモシスチス肺炎の治療や予防に使われるほか、プログアニルとの合剤はマラリアの治療にも用いられる。商品名サムチレール。ユビキノンの類縁物質であり、ミトコンドリア内膜でチトクロームbへのユビキノンの結合を阻害し、抗真菌効果を発揮する。
効能・効果
日本で承認されている効能・効果は、ニューモシスチス・イロベチー による、ニューモシスチス肺炎(PCP)の治療および発症抑制である。他の真菌や細菌、マイコバクテリア、ウイルス疾患の治療には有効ではない[1]。
- スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(ST合剤)の使用が困難な場合に使用すべきであると添付文書に記載されている。
またプログアニルとの合剤がマラリア予防・治療薬として承認されているが、ヒプノゾイト(マラリア原虫の休眠体)には効果がない[2]。
海外では、下記の感染症に対して承認されている。
- 軽症から中等症のPCP治療[3][4]―重症例への使用は承認されていない。
- トキソプラズマ症[5]―抗原虫効果と治療効果が認められる。
- マラリア―アトバコン・プログアニルとして。メフロキン[6]よりも副作用は少ない。耐性が生じることが知られている[7]。
- バベシア症―通常は経口アジスロマイシンが併用される[8]。
ST合剤がPCP治療の第一選択薬である。スルホンアミド系薬剤へのアレルギー等でST合剤が使用できない場合にアトバコンが用いられる。加えて、アトバコンは骨髄抑制を起こさないので、造血幹細胞移植後の患者等、骨髄機能が重要な問題となっている患者にも使用される。
副作用
治験で見られた主な副作用は、悪心(16%)、発疹(18%)、嘔吐(9%)、下痢(6%)、頭痛(6%)、発熱(4%)である[1]。
重大な副作用として、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、重度の肝機能障害、無顆粒球症、白血球減少 が添付文書に記載されている。
プログアニルとの合剤での重大な副作用は上記の他に、肝炎、胆汁鬱滞、アナフィラキシー、汎血球減少症 である[2]。
作用機序
ミトコンドリア内膜に存在する呼吸鎖複合体I、II、III、IVの内、IIIを構成するチトクロームbとユビキノン(CoQ10)との結合を阻害し、P. jirovecii の呼吸を抑制する。P. jirovecii の近縁種であるP. carinii では呼吸阻害のIC50は0.043µMであり、ヒト肝臓のミトコンドリアに対するIC50は約150倍〜600倍であるので選択性があると言える[9]:26。これはチトクロームbの275番アミノ酸の違いによると考えられ、P. jirovecii の近縁種とされるイースト菌を用いた実験では、275番アミノ酸の変異で耐性が出現した[10]。
出典
- ^ a b “サムチレール内用懸濁液15% 添付文書” (2016年1月). 2016年6月14日閲覧。
- ^ a b “マラロン小児用配合錠/マラロン配合錠 添付文書” (2016年4月). 2016年6月14日閲覧。
- ^ “Comparison of atovaquone (566C80) with trimethoprim-sulfamethoxazole to treat Pneumocystis carinii pneumonia in patients with AIDS”. N. Engl. J. Med. 328 (21): 1521–7. (May 1993). doi:10.1056/NEJM199305273282103. PMID 8479489 .
- ^ “Oral atovaquone compared with intravenous pentamidine for Pneumocystis carinii pneumonia in patients with AIDS. Atovaquone Study Group”. Ann. Intern. Med. 121 (3): 174–80. (August 1994). doi:10.7326/0003-4819-121-3-199408010-00003. PMID 7880228 .
- ^ “Efficacy of atovaquone combined with clindamycin against murine infection with a cystogenic (Me49) strain of Toxoplasma gondii”. J. Antimicrob. Chemother. 50 (6): 981–7. (December 2002). doi:10.1093/jac/dkf251. PMID 12461021 .
- ^ Malarone: New Malaria Medication With Fewer Side-effects
- ^ “Evidence of Plasmodium falciparum malaria resistant to atovaquone and proguanil hydrochloride: case reports”. BMJ 326 (7390): 628–9. (March 2003). doi:10.1136/bmj.326.7390.628. PMC 151974. PMID 12649236 .
- ^ “Atovaquone and azithromycin for the treatment of babesiosis”. N. Engl. J. Med. 343 (20): 1454–8. (November 2000). doi:10.1056/NEJM200011163432004. PMID 11078770 .
- ^ “サムチレール内用懸濁液15% インタビューフォーム” (PDF) (2016年3月). 2016年6月14日閲覧。
- ^ Kessl JJ, Lange BB, Merbitz-Zahradnik T, Zwicker K, Hill P, Meunier B et al. (2003). “Molecular basis for atovaquone binding to the cytochrome bc1 complex.”. J Biol Chem 278 (33): 31312-8. doi:10.1074/jbc.M304042200. PMID 12791689 .
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、アトバコンに関するカテゴリがあります。
- Molecular Basis for Atovaquone Resistance in Pneumocystis jirovecii
- Atovaquone (Meprone)
- British National Formulary
アトバコン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:06 UTC 版)
「ニューモシスチス肺炎」の記事における「アトバコン」の解説
ST合剤で治療を開始し、ST合剤の変更が必要になった場合はアトバコンへの変更がひとつの選択肢と成る。商品名はサムチレール®である。不快な味がすること、高価であることが弱点である。
※この「アトバコン」の解説は、「ニューモシスチス肺炎」の解説の一部です。
「アトバコン」を含む「ニューモシスチス肺炎」の記事については、「ニューモシスチス肺炎」の概要を参照ください。
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