指名方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 08:49 UTC 版)
「ドラフト会議 (MLB)」の記事における「指名方式」の解説
戦力均衡が目的であるため、導入年から完全ウェイバー方式を採用しており、指名重複(抽選)や自由獲得枠といった規定はない。2022年からは、タンキング(球団側が意図的に戦力補強をせず、その結果勝率が下がることで、翌年のドラフトでより上位の指名権を得ようとする戦略)行為抑制のため、NBAやNHLでも採用されているロッタリールールを以下のとおり採用している。 全体1位から6位までの各指名権を、ポストシーズンに出場できなかった球団のみが参加する抽選で分配する。当選確率は勝率の低い球団ほど高く設定される(勝率下位3球団の当選確率は16.5%)。 収益分配金の受給対象球団は3年連続で抽選に、受給非対象球団は2年連続で抽選に参加することを禁止。その当年は、高くても全体10位以下の指名順位しか得られない。 また、指名権の補償などについて以下の特別規定がある。 前年度のドラフトで1巡目または2巡目に指名した選手と契約できなかった球団は、その選手の全体指名順位に1を加えた順位での指名権を追加で与えられる。また3巡目に指名した選手と契約できなかった際は、3巡目指名後(4巡目指名の前)に指名権を1つ与えられる。なお事前に選手の同意がない限り、同一球団が同一選手を2年連続で指名することはできない。 前年度の所属球団からクオリファイング・オファー(QO)を提示された選手がオファーを拒否してFAとなったうえ、当年ドラフトまでに他のMLB球団と契約した場合、流出元球団は補完指名権を得る。一方、獲得先球団は保有している指名権を少なくとも1つ以上失う。 詳細は「フリーエージェント (プロスポーツ)#クオリファイング・オファー(Qualifying Offer)」を参照 1巡目および2巡目指名終了後、『戦力均衡ラウンド (CB)』と呼ばれる補完指名が実施される。市場規模下位10球団または球団収益下位10球団のいずれかに該当する球団の中から、抽選で6-8球団に2巡目指名直前(戦力均衡ラウンドA)の補完指名権が、ラウンドAの抽選で外れた球団の中から6-8球団に2巡目指名終了直後(戦力均衡ラウンドB)の補完指名権が与えられる。この制度は2012年より実施され、労使協定見直しに伴い5年毎に細部のルールが変更されている。また、戦力均衡ラウンドの指名権に限ってドラフト指名権自体のトレードが認められている。 ドラフト ラウンド1巡目 QO補完指名 戦力均衡ラウンドA 2巡目 戦力均衡ラウンドB QO補完指名 3巡目 入団拒否補完指名(3巡目) 4巡目 QO補完指名 5巡目 6巡目 ・・・ アメリカでは学生の部活動の掛け持ちが一般的であり、野球以外のスポーツでも高い才能を発揮している学生選手は珍しくない。そのためNBAやNFLなど他競技のドラフトからも重複で指名されたり、卒業年度でない学生は大学などからスポーツ奨学金(スカラーシップ)の提供を受けて在学を続ける選択をし、指名されても入団しないケースがある。また、下位指名選手は契約金や自身への評価が低いなどの理由から、入団しないことがある。 またチーム関係者の親族や、知人の息子を「記念」として下位で指名するなど、思わぬ人物が突然指名を受けるケースもある。あくまでお遊びとしての指名であり、基本的に選手としては期待されていないので、大抵このような指名を受けた者は入団しないが、マイク・ピアッツァ(1988年、62巡目指名)のように入団しチームの主力にまで成長する選手も稀にだが存在する。 指名選手とはマイナー契約(40人枠外での契約)しか締結できないため、ほぼ全ての選手は傘下のマイナーリーグ球団で数年間の育成を経たのち、有望選手がMLB昇格を果たしていく。なお2020年現在、契約交渉権の期限は7月中旬まで(4年制大学卒業生、および独立リーグ所属選手は翌年ドラフト開催日まで)。
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