クオリファイング・オファー(Qualifying Offer)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 04:22 UTC 版)
「フリーエージェント (プロスポーツ)」の記事における「クオリファイング・オファー(Qualifying Offer)」の解説
2012年以降、選手のタイプ分けは廃止され、代わって補償対象となるのは「所属していた球団からクオリファイング・オファー(MLB全体の上位125選手の平均年俸と同額の1年契約)を提示された選手」となっている。2016年に新しい労使協定が締結され、2017年以降の5年間は以下のルールで施行される。 クオリファイング・オファー(以下QO)は、過去にQOを提示されたことがなく、且つ当シーズン中に所属チームを移籍しておらず、且つシーズン終了後にFAとなる自軍選手に対して、球団側が提示する選択権を持つ。前述の通り契約期間は1年のみで年俸も固定であり、球団や選手(代理人)側がこれらの契約条件を変更することはできない。 球団がQOを提示できるのは、ワールドシリーズ終了から5日以内。選手はQO提示期限日から10日以内に、QOを受諾して残留するか、拒否するかを決めなければならない。拒否すればFAとなり全球団と交渉可能になるが、拒否したうえでFA元球団と通常の契約交渉を行い再契約することも可能。2021年までに延べ110人の選手がQOを提示されたが、QOを受諾して1年契約延長したのは下記選手のみ。 2015年:コルビー・ラスムス、マット・ウィータース、ブレット・アンダーソン 2016年:ニール・ウォーカー、ジェレミー・ヘリクソン 2018年:柳賢振 2019年:ジェイク・オドリッジ、ホセ・アブレイユ 2020年:マーカス・ストローマン、ケビン・ゴーズマン 2021年:ブランドン・ベルト QOを拒否してFAとなった選手が翌年6月のドラフト会議までに他のMLB球団と契約した場合、そのドラフト会議で指名権の補償が発生する。 選手の流出元球団が獲得する指名権は以下のとおり。 ぜいたく税の課税対象球団である場合4巡目指名終了直後の補完指名権 ぜいたく税の対象外、且つ収益分配制度での配当対象ではない球団の場合 ぜいたく税の対象外、且つ収益分配制度での配当対象となる球団で、且つ移籍先球団との契約年俸総額が5000万ドル未満である場合2.3.いずれも2巡目指名終了後(戦力均衡ラウンドBの指名直後)の補完指名権 ぜいたく税の対象外、且つ収益分配制度での配当対象となる球団で、且つ移籍先球団との契約年俸総額が5000万ドル以上である場合1巡目指名終了直後の補完指名権 選手の獲得先球団が喪失する指名権は以下のとおり。 ぜいたく税の課税対象球団である場合保有する指名権のうち、2番目および5番目に高い全体順位の指名権。加えて「インターナショナル・ボーナス・プールの100万ドル」も失う。 ぜいたく税の対象外、且つ収益分配制度での配当対象ではない球団の場合保有する指名権のうち、2番目に高い指名権。加えて「インターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル」も失う。 ぜいたく税の対象外、且つ収益分配制度での配当対象となる球団の場合保有する指名権のうち、3番目に高い指名権 2人以上のQO拒否選手と契約した球団は引き続き上記ルールが適用され、喪失した指名権の次に高い指名権を喪失し続ける。 前述の通り、選手側はQOを拒否して複数年の大型契約締結を目指す傾向が強いが、QOを拒否してFAとなったものの好条件での契約を勝ち取れず、最終的にQOの契約条件を大幅に下回る金額での新契約を甘受したマイク・ムスタカス(2017年)のようなケースも起きている。ほか、指名権喪失を嫌う球団から獲得を見送られたり、シーズン途中に開催されるMLBドラフト終了後(補償が不要となる)まで契約締結がずれ込んだケンドリス・モラレス(2013年)、ダラス・カイケルおよびクレイグ・キンブレル(ともに2019年)のようなケースも発生している。
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