戦況の悪化と宇久須の明礬石とは? わかりやすく解説

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戦況の悪化と宇久須の明礬石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 02:09 UTC 版)

伊豆珪石鉱山」の記事における「戦況の悪化と宇久須の明礬石」の解説

ビンタン島など、南方からのボーキサイト供給1943年半ば頃までは順調であった。しかし1943年後半からは戦況の悪化に伴い南方からの海上輸送が困難となっていく。ボーキサイト利用が困難となりつつなる中で、改め国産原料によるアルミニウム製造が注目されるようになった当初国産原料の中で最有力とされたのは中国産の礬土頁岩であり、アルミニウム製各社それぞれ礬土頁岩製錬法についての研究始めた。また伊豆半島宇久須と、宇久須の後に発見され仁科明礬石利用進めていくこととなり、伊豆半島に近い日本軽金属清水工場では、1943年10月明礬石苛性ソーダ法の製錬施設の建設始まり12月には明礬石マグネサイト法のパイロットプラント建設開始された。 宇久須明礬石鉱床は、佐藤謙三経営佐藤鉱業であったが、1943年9月明礬石開発促進目的として新たに宇久須鉱業設立された。これより先、1943年1月地元静岡県は「静岡県軽金属増産推進協力会」を設置して伊豆明礬石開発バックアップする体制整えていたが、1943年11月には軍需省後援のもと、「伊豆明礬石急戦化現促進協議会」へと改組強化されバックアップ体制強固にした。 明礬石鉱床については各鉱床とも探鉱が行われたが、深田鉱床芝山鉱床、八向鉱床八木沢鉱床では探鉱坑道掘削して探鉱進められていた。中でも明礬石主力鉱床とされた深田鉱床は、探鉱結果鉱床詳細な状況把握された。当初伊豆明礬石鉱床で有望視されていたのはアルミナ含有量多く埋蔵量も豊富であると推定されていた仁科明礬石鉱床の方であった。しかし探鉱進めていく中で、仁科明礬石鉱床アルミナ含有量平均する20パーセント程度であり、鉱床内に明礬石粘土珪石混在しており、鉱床内の明礬石品位安定せず富鉱貧鉱混在しており、肝心明礬石自体石英以外にカオリナイトなどの夾雑物が多いことがわかった一方宇久須アルミナ含有量自体13パーセントから15パーセント程度仁科よりも低いものの、鉱床内の鉱石の質は安定しており、鉱石夾雑物もほぼ石英のみで浮遊選鉱による選鉱が容易である上に、推定埋蔵量が約2000トン極めて豊富であるため、宇久須明礬石鉱床開発優先されることになった。しかも宇久須明礬石鉱床比較的海に近く鉱石等の輸送に有利であり、地形的に比較傾斜が緩やかで鉱山設備建設が容易であった反面仁科は海から遠く、しかも地形急峻であり、輸送鉱山設備建設面から見ても不利であった1944年に入ると、戦況はより悪化して大陸からの礬土頁岩輸送も困難となった1944年8月日本軽金属では政府からの指示に従って伊豆明礬石アルミニウム原料とする方針変更された。1945年に入ると、ボーキサイト礬土頁岩入手はほぼ不可能となり、明礬石に頼らざるを得なくなる。1945年1月15日軍需省航空兵器総局内に伊豆明礬石開発本部設けられ2月25日には政府は「伊豆明礬石の緊急増開発要綱に関する件」を決定し、国が主導して宇久須明礬石開発進め体制整えられた。そして1945年2月には宇久須鉱業改組されて住友鉱業経営となった関係者の証言によれば土肥旅館に総責任者として陸軍少将常駐し宇久須旅館では中佐数名将校生活し宇久須小学校開発本部現地事務所設けられた。

※この「戦況の悪化と宇久須の明礬石」の解説は、「伊豆珪石鉱山」の解説の一部です。
「戦況の悪化と宇久須の明礬石」を含む「伊豆珪石鉱山」の記事については、「伊豆珪石鉱山」の概要を参照ください。

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