戦法と戦型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 07:41 UTC 版)
将棋には様々な戦法があるが、ある場面で効果的な戦法が別の場面でも効果的であるとは限らない。そこで、最序盤の先後双方の指し手を併せた局面の進行を、いくつかの型(戦型)に大別した上で、戦型ごとに先後それぞれの効果的な指し方についてを戦法として分類するのが一般的である。一方で、棒銀戦法のように、様々な戦型で効果を発揮する汎用的な戦法もある。なお「戦型」と「戦法」の両者は、しばしば混用される。ここでは、戦法の一覧を見る上で不可欠な戦法分類の理解を助けるために、まずは代表的戦型について説明する。なお、どの戦型で対局が行われるのかは攻め・守りの基本方針に関わるから、自ら主導して戦型を選択した側の対局者にとっては、戦型自体が戦法の一つでもある。 対抗型では振り飛車側、相振り飛車では後から振り飛車を明示した側が該当する。相居飛車では両者の盤上の駆け引き・合意によって戦型が決まるため、純粋にどちらか一方の意思とは言えないが、矢倉戦・角換わり(正調角換わり)・相掛かりは先手の主導、角換わり(後手一手損角換わり)・横歩取りは後手の主導で実現することが多いとされている。 △持ち駒 角 ▲持ち駒 角相居飛車の最序盤の例(角換わり) 戦法は、最強の駒である飛車の使い方によって居飛車と振り飛車に大別される。居飛車は飛車を初期位置である右翼に居たまま使う戦法であり、振り飛車は飛車を左翼に振って(移動して)使う戦法である。なお、飛車の初期位置は厳密には右翼のうち右から2番目の筋(先手ならば2筋、後手ならば8筋)であるが、右から3番目や4番目の筋も右翼であることにはかわりはないから、これらの筋で飛車を使う戦法も居飛車に含まれ、右から3番目の筋で飛車を使う戦法は袖飛車、右から4番目の筋で飛車を使う戦法は右四間飛車と呼ばれる。 飛車を中央である5筋で使うものについては、通常玉将を右翼に囲う点など、他の振り飛車との共通点が多いため、一般的に振り飛車に分類されるが、他の居飛車との共通点が多い戦法、たとえばカニカニ銀(中飛車)や矢倉中飛車など、相居飛車(この場合は相矢倉)で生じる戦法であるために、居飛車に分類されることもある。 また、横歩取りのうち飛車位置が途中で左翼になるものや、ひねり飛車のように右に玉将を囲い途中から飛車の位置を変えるような、どちらかというと相居飛車に分類される指し方もある。 互いに居飛車と振り飛車のどちらの戦法を採るかという基準により、戦型は3つに大別できることになる。すなわち、双方が居飛車の相居飛車、一方が居飛車で他方が振り飛車の対抗型、双方が振り飛車の相振り飛車である。
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