感染症の診断とは? わかりやすく解説

感染症の診断

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 18:10 UTC 版)

ポリメラーゼ連鎖反応」の記事における「感染症の診断」の解説

PCRは、細菌ウイルスによって引き起こされる感染症の、高感度迅速な診断役立っている。PCRでは、マイコバクテリア嫌気性細菌、または組織培養アッセイ動物モデルからのウイルスなど、培養できない微生物成長の遅い微生物迅速な同定も可能である。またPCR診断は、感染性病原体検出のみならず、その細菌特定の遺伝子持っているかどうか判断することで、非病原性病原性かを区別できる一方で様々な欠点報告されている(後述)。 ヒト免疫不全ウイルスHIV)は、発見して根絶するのが難し標的である。初期感染診断は、血流中を循環するウイルス抗体存在依存していたが、抗体感染後週間経ってからでないと現れず、母体抗体新生児感染隠してしまい、またHIV治療薬による治療では抗体量が変化しないという問題があった。そこで、50,000上の細胞DNAサンプル中からわずか1つウイルスゲノム検出できる高感度PCRテストの手法が開発された。この方法により、感染症早期検出献血された血液ウイルス検査新生児迅速な感染検査可能になり、また抗ウイルス治療効果定量化できるようになった結核のようないくつかの病気引き起こす微生物は、患者からのサンプリング難しく、また実験室成長するのが遅いことが知られており、培養ベース診断では多くの手間暇かかっていた。PCRによるテストにより、サンプル中から疾患原因微生物検出できるほか、遺伝子分析から抗生物質耐性有無等も検出でき、効果的な治療方針設定治療効果評価に繋がる可能性がある。 家畜または野生動物集団介した疾患生物拡散新し毒性を持つサブタイプ出現は、PCRテストによって監視できる。 ウイルスのDNA標的配列特異的なプライマー使用することで、ウイルスDNAPCR検出することができるほか、DNAシーケンスにも使用できるPCR感度が高いため、感染直後および病気発症であってもウイルス検出可能な場合がある。早期発見により、医師治療の重要なリードタイム与え可能性がある。患者内部含まれるウイルス量は、PCRベースDNA定量技術によっても定量化できる百日咳百日咳菌呼ばれる細菌によって引き起こされる。この細菌は、さまざまな動物人間影響与え深刻な急性呼吸器感染症特徴としており、多くの幼い子供の死をもたらしている。百日咳毒素は、2つ二量体によって細胞受容体結合し細胞免疫役割を果たすTリンパ球などと反応するタンパク質毒素である。PCRにより百日咳毒素遺伝子内にある配列検出できるため、培養法比較して非常に効率的に百日咳診断が可能である。

※この「感染症の診断」の解説は、「ポリメラーゼ連鎖反応」の解説の一部です。
「感染症の診断」を含む「ポリメラーゼ連鎖反応」の記事については、「ポリメラーゼ連鎖反応」の概要を参照ください。

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