形状などの変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 11:38 UTC 版)
初期の車側灯は車体側面に埋め込まれず、ドングリの実のような楕円形のものが飛び出し、前後に赤色灯が設けられていた。これは昔の普通鋼車体が現在より頑丈に作られており、車側灯を埋め込むことが困難だったからとされる。[要出典]こうした形状を魚雷になぞらえて「水雷型」と呼び、ウインドシル・ウインドヘッダー、リベットと共に、旧型電車のデザインを魅力付ける情景として捉えることも多い。 やがて戦前頃までに技術が進むと、車側灯は車体に埋め込まれるようになり、収納する白熱灯の関係からか、横長長円形が基本となった。また、当初は車外から電球を交換する外バメ式で、レンズの外側に縁があったが、室内から電球を交換する内バメ式となり、縁が無くなった。 1960年代後半に全金属製車体や新性能電車が登場すると、他にも非常に多くの新機軸が随所に盛り込まれた。車側灯も例外ではなく、真円形が基本となった。 1980年頃からは見やすさの向上を目指し、再度長円形が普及してきた。しかしこれは前述の横長長円形でなく、縦長長円形も登場している。これは車側灯を最も使う車掌(つまり後ろ)から見た場合、点灯部の表面積が横長長円形や真円形より広く見えるからである。旧・日本国有鉄道(国鉄、現・JRグループ)では201系から採用された。 円形車側灯の変形バリエーションとしては、真円形の外バメカバーの中に、横長長円形の車側灯が入ったものがあり、車体側面に多数のコルゲートを付けていた、少し前の世代のステンレスカーなどに見られる。 やがて白熱灯にかわって発光ダイオード (LED) の実用化の幅が広がると、鉄道関係の表示類にもLEDが進出してきた。鉄道車両の表示類としては運転台の動作表示灯→車側灯→尾灯の順に採用され、阪急電鉄の6300系6330Fに採用されたのが、日本初のLED式車側灯である可能性が高い(出典: 『鉄道ファン』新車ガイド)。またLEDは白熱灯に比べて灯具の収納スペースをコンパクトにできるため、車側灯の表面が平らになっている特徴を持つ。このために後からLED式車側灯に交換された車両でも、表面を見ることで判別は容易である。 従来の灯具の構造は、白熱灯の周囲に赤透明レンズ(当初はガラス、後にプラスチック)、次いで赤色LEDの周囲に赤透明カバーとなった。赤色LEDは自身が赤い光を放つため、カバーが赤である必要は無く、これにより国土交通省で定められていた、尾灯などの赤色灯に関する規定が変更された為、LEDの周囲を透明レンズとした車側灯が2003年頃から登場している。この透明レンズ式は点灯していない(扉が閉まっている)状態では赤色が全くないため、LEDを取り付けている基板の緑が透けて、薄緑色に見える。 また1960年代後半以降の旅客車の側面に設置されるようになった機器として、種別・行先表示器(方向幕)が挙げられるが、京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)6000系や東京都交通局(都営地下鉄)5300形等には、車側灯と行先表示をデザイン的に一体化させた意匠が見られる。 ここまで説明して来た形状は全て円形だが、四角形の車側灯も国鉄の客車や近畿日本鉄道などに見られる。類似した形状で三角柱形もあるが、これは横から見ると三角なのでなく、三角柱の一面が全て車体に接する形状をしている。このため真下から見れば三角だが、正面や真横から見れば結局四角である。
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