形状による違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 13:48 UTC 版)
「ヘルメット (オートバイ)」の記事における「形状による違い」の解説
形状による分類は、次の通りである。 ハーフ形 半球形、半キャップ、お椀形とも呼ばれる。気軽に被れ、価格が安いのが利点であるが、保護範囲が狭いのが欠点であり、特に側頭部への衝撃が致命傷になりやすい(耳の上方にあたる部分の頭蓋骨は比較的薄い)。日本では排気量125ccまでのオートバイ用規格で製造されている。 スリークォーターズ形 ハーフ形よりも側頭部の保護範囲が耳を半分覆う程度まで広げられており、ハーフ形とオープンフェース形(ジェット形)の中間的形状であるところからセミジェット形とも呼ばれる。業務用オートバイでの使用が多い。シールドが装着できるものもあり、シールドがないと顔面から転倒するような場合には顔を傷つける恐れがある。ただしシールドがあっても顔面を保護できるが顎を損傷する恐れがある。日本では排気量125ccまでのオートバイ用規格で製造されているものがほとんどである。 オープンフェース形 側頭部と後頭部のほぼ全てを覆うが顔面は露出しているタイプ。昔のジェット戦闘機の操縦士が装着していたヘルメットの形状からジェット形とも呼ばれる。上記二つと比べて安全性が高いほか、視野の広さ、開放感、利便性(顔を隠さないので、ヘルメットを被ったまま水を飲んだり会話できる)を損なわない。シールドが装着できるものもある。日本ではほぼ全排気量のオートバイ用規格で製造されている。 フルフェース形 インテグラル形とも呼ばれる。オープンフェース形にチンガード(顎の部分の覆い)を付けたもの。視界を確保する部分以外は覆われることになる。より高い安全性(顔面から転倒するような場合)が最大の利点であり、また、風を巻き込みにくいため特に高速走行時の快適性に優れている。顔面や頭部への損傷は防ぐことができるが、頸部への負荷がかかりやすく脊髄損傷や呼吸困難などを引き起こす恐れもある。また、口元が覆われていることで気道確保等の救命措置を妨げることがあり、そのため、ヘルメットリムーバーと呼ばれる事故発生時にすぐにヘルメットを外せるような構造のものもある。スペインのヘルメットメーカーであるAPCシステムズからエアバッグ内蔵のヘルメットが開発されている。さらに頸部への負荷を軽減するためエアバッグジャケットやネックブレースシステムなどと組み合わせることで安全性は上がる。基本的に全排気量のオートバイ用規格で製造されている。SKULLYをはじめBikesystems、BMWなどがHUD内蔵のヘルメットを開発している。 フルフェース形やオープンフェース形では、ベンチレーションシステムと呼ばれる通気口が設けられているものがあり、そういったタイプでは見た目に反して走行中は涼しく快適になっている。最近は、女性向けにシールドにUVカットを施したり、サイドシールドの風の巻き込みを低減させたりして軽さを重視した構造のものもあり、ファミリー形と呼ばれている。 ハーフ形は一見涼しそうに見えるが、ベンチレーションシステムが無く、通気性がないために夏場は中が蒸れ、冬は露出部の多さで顔が凍えるように寒くなる。そういった点ではジェット形やフルフェース形よりも不快である。また、ハーフ形は耳を露出しているため、高速走行時には風切り音のノイズのせいで周囲の音が聞こえにくくなるという問題もある。 オフロード専用に作られたフルフェース形はモトクロスをはじめとしたレース用として作られているため視界は悪い。そのため、シールドを外してゴーグルを着用することもある。最近はフルフェース形でありながらフェースガード部分をシールドごと開閉出来たり、帽体との分割・合体が自在な構造のものもあり、フリップアップ形(システム形)と呼ばれている。ノーラングループが製造しているクロスオーバー形は状況に応じてチンガードが着脱できたり、バイザーも交換できる。 オフロード走行ではフロントアップやアクセルターンなどボディアクションが大きく体力消費が大きいので、呼吸が少しでも行いやすいようにチンガードが前方に伸びている。また、自車や周囲の車両により泥が跳ね上げられる為、バイザーが取り付けられている。それでも多少なりゴーグルが汚れ視界が塞がるため、複数枚重ねた使い捨てフィルムや巻取り装置付きのフィルムを併用する場合もある
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