形成と特徴とは? わかりやすく解説

形成と特徴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 17:12 UTC 版)

アルコール依存症」の記事における「形成と特徴」の解説

通常飲酒行動を、主にアルコールによって得られる肉体的精神的変容求めることが多いが、初期毎日飲むわけではなく、何かの機会に時々飲むだけという機会飲酒から始まる。しかし、何らかの原因毎日飲む習慣性飲酒移行することも多く習慣性飲酒となると同じ量の飲酒では同じように酔うことができなくなり次第飲酒量増えていくことになる(耐性形成)。つまり、アルコール依存症になることはこの「習慣性飲酒」と深い関係があるということになる。もちろん、習慣性飲酒をする者すべてがアルコール依存症患者であるとは言えないが、何らかのきっかけがあればさらに飲酒量増えいつの間に依存症に陥ってしまうという危険性充分はらんでいると言える一見すると本人自分判断好んで飲酒しているようにみえ、患者自身も好きで飲酒していると錯誤している場合が多い。そのため、患者アルコール依存症のことを告げると「自分は違う」などと激しく拒絶をされることも多々あり、否認の病気とも言われている。しかし、依存重度になると断酒によって肉体的精神的に離脱症状禁断症状)が出るため、楽しむためではなく離脱症状避け目的飲酒繰り返すことになる。このような状態に陥ってしまうと、もはや自分意志だけで酒を断つことが極めて困難となる(セルフコントロール喪失)。 また、アルコール依存症形成助長するものとして、アルコール依存症になる人の周囲には、酒代になりうる小遣い提供したり、過度飲酒生じ社会的な数々不始末他人に迷惑をかける物品を壊す、等)に対して本人になり代わり謝罪したり、飲酒している本人尻ぬぐいをする家族などイネーブラーenabler)が存在することが多い。イネーブラー飲酒している当人反省を必要とさせず、延々と過度に飲酒することを可能にしてしまうとされる逆に一切イネーブラーがいなくなったり、医師から死を宣告されたりしたことをきっかけに、本人が「底つき体験」(「どん底体験」ともターニング・ポイントとも呼んだりする。“このままでは大変なことになる”という意識発生)をし、それをきっかけアルコール依存症から立ち直ることがあるセルフコントロール不能アクセプタンス)。 さらに、アルコール依存症者の配偶者などには、アルコール依存症者に必要とされることを必要とする共依存co-dependency) の状態に陥っている人もいる。そのため、アルコール依存症本人以外の家族問題となっている可能性もあり、アルコール依存症本人治療だけでなく、その配偶者などに対して正しカウンセリングなどが必要となるケースもある。 この他にも、アルコール依存症患者症状およびその周囲取り巻社会への影響から、この病気次のような特徴持っている進行性疾患 自分依存的飲酒していると気付かずにそれを続けるとさらに飲酒量増えて症状悪化し悪循環陥る慢性疾患 一度依存陥る回復極めて困難である。いわゆる上手に酒を飲むということができなくなる。 人格変化を引き起こす疾患 依存陥ったことを否認するため、周囲のせいにしたりして攻撃的他罰的自己中心的性格になる。他人への関心失い手段として使うようになる。あるいは逆に自分のせいにして自虐的になり、後悔・不安・孤独に苛まれるうになるまた、アルコール入っていない状態であっても酔っているとき同じよう言動をする「ドライドランク」と呼ばれる状態になることもしばしばある。これらの結果として周囲の人は本人と「付き合えなく」なってしまい、社会性を失う。 不治の疾患 アルコール依存症になった者が元の機会飲酒者に戻ることはほとんど不可能であるとされている。たとえ身体的に回復し数年にわたる断酒続けていた者であっても一口でも飲酒をすることによって再び元の強迫的飲酒状態に戻ってしまう可能性が非常に高い。そして、進行性病気であるためにさらに症状悪化していく。つまり、悪くなることはあっても、決し良くなることはな病気であり、寛解かんかい)の状態で再発つまり再飲酒をどう防ぐかが治療の重要な点となる。 死に至る疾患 適切な対処をしなければ内臓疾患あるいは精神ストレスなどによる自殺または事故死など、何らかの形で死に至る場合が多い。アルコール依存症者の予後10年死亡率30 - 40%と非常に高く節酒試みた患者通常飲酒した患者とでは死亡率に差が見られず、断酒することによってのみ生存率が高まる。 機能不全家族の形成要因 飲酒による問題行動により、その家族は常にストレス苛まれることになる。家族は常に飲酒やめさせるとばかり考えるようになり、家族まで精神疾患罹患してしまうケース少なくない家族との信頼関係亀裂始まり別居離婚へ発展して家族崩壊する原因となったりする。 アダルトチルドレンACAdult Children of Alcoholics アルコール依存症の親のもとで育ち成人した人々)の語源となっているように、アルコール依存症者のいる家庭での家族与え影響多大なものであり、特に親から子へアルコール依存などの嗜癖問題世代間で伝播する現象がよく見られる。そのため、アルコール依存症患者本人だけの問題ではなく家族全体巻き込み、特に機能不全家族形成助長する

※この「形成と特徴」の解説は、「アルコール依存症」の解説の一部です。
「形成と特徴」を含む「アルコール依存症」の記事については、「アルコール依存症」の概要を参照ください。

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