形成と説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 14:19 UTC 版)
神経細胞のシナプスに集中しているのは、形質膜を横切って広がるアミロイド前駆体タンパク質(APP)である。このタンパク質の一部には Aβペプチド配列が含まれている。この領域は、タンパク質をコードするAPPにまたがるDNAセグメントの一部を構成している。 老人斑の形成においては、アミロイド前駆体タンパク質からAβが切断される。APPを処理できる酵素は3種類あるが、老人斑の形成に直接関与しているのはβ-セクレターゼとγ-セクレターゼのみである。β-セクレターゼ (BACE) は、タンパク質やペプチドを切断するプロテアーゼ酵素である。このプロテアーゼはAPPを切断して、AβのC末端断片をさらに露出させる。このプロセスによってAPPの大部分が解放された後、γ-セクレターゼが、膜貫通(英語版)ドメイン上の残りのC末端断片を切断する。BACE活性に続くγ-セクレターゼの一連の作用により、Aβタンパク質断片(アミロイドβ)が細胞外空間に放出される。最終的には、神経細胞のシナプスの外側にアミロイドβが蓄積すると、脳細胞の微細な隆起や結合を押しのけるプラークの集合体を形成する。 アミロイドβ断片の形成は、人間の体内では正常な出来事である。しかし、プラーク沈着の形成につながるAβの蓄積は異常な現象である。この異常の原因はほとんど解明されていないが、研究の結果、数種類のアミロイドβが数個のアミノ酸の長さの違いで凝集してプラークになりやすいことが明らかになっている。これらの種はより病原性が高い。
※この「形成と説明」の解説は、「老人斑」の解説の一部です。
「形成と説明」を含む「老人斑」の記事については、「老人斑」の概要を参照ください。
- 形成と説明のページへのリンク