強姦致傷事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 01:10 UTC 版)
「JT女性社員逆恨み殺人事件」の記事における「強姦致傷事件」の解説
Mは1989年12月19日1時ごろ、江東区大島六丁目のバス停付近(後の事件現場付近)で、タクシーを待っていたところ、タクシーから下車する女性Aを見掛けた。Aは当時、やや酒に酔っており、Mから飲食に誘われるとそれに応じ、自宅である大島六丁目団地から徒歩2、3分の距離にある飲食店でともに酒を飲み、2時ごろに退店した。この時、MはAから「どこに住んでんの?」「仕事は何?」などと聞き、彼女が大島六丁目団地で1人暮らししていることを聞き出している。同団地は、7棟(2,000戸以上)からなる団地だった。 その後、MはAをホテルに誘うが、Aはこれを拒否し、自宅とは別方向に歩いて行った。しかし、MはAから拒絶されてもなお、つきまといながら誘い続け、Aが団地脇の暗がりに差し掛かったところ、突然抱きついてキスを迫った。Aは拒否し、Mの腕を振り払って逃げようとしたが、Mは路上でAの首を両手で強く絞めつけ、失神させた上で、付近に落ちていた電気コードでAの首を強く絞めるなどの暴行を加え、Aを強姦した。強姦中にAの首を絞めた理由は、性的快感を高めるためで、Aは首に全治約2週間の怪我(頚部縊創など)を負った。 Aを強姦した後、MはAの財布などが入ったショルダーバッグ1個を盗み、失神した状態のAを半裸のまま戸外に放置して逃走した。また、そのショルダーバッグの中に入っていた手帳などから、Aの電話番号を知ることになる。その後、Aは失神して現場で倒れているところを通行人に発見されたが、意識を回復してからも自分が強姦されたかどうかも判然としていない状態で悩んでいた。しかし数日後、Mは強姦したことを種にAから金を喝取しようと考え、Aに電話した。その電話の内容は「あんたの出方次第では、強姦されたことを会社の人に言うよ」「君の秘密を10万円で買ってくれ」「警察に言えばどんな目に遭うかもしれないぞ」というもので、同月29日10時、A宅(大島六丁目団地)の最寄り駅である大島駅(都営地下鉄新宿線)の改札口付近で現金を受け渡すよう指定した。 Aは強姦されたことを家族らにも打ち明けず、独り自分の胸の内に隠し通そうとしていたが、勇気を奮い、警視庁城東警察署に被害届を出したため、Mは同月29日、現金の受け渡し場所に現れたところ、張り込んでいた捜査員によって逮捕された。この事件で強姦致傷・窃盗・恐喝未遂の罪に問われたMは、1990年(平成2年)3月13日に東京地方裁判所で懲役7年の刑に処され、同月28日付で判決が確定。札幌刑務所に収容された。 Mはこの事件で逮捕されて以降、表面上は反省の態度を見せていたが、実際には逮捕された直後から、「Aが警察に届けないという約束を破ったからだ」「Aは自分を裏切った」と決めつけ、Aに激しい憤りを覚えるとともに、自分の言葉が脅しではないことを思い知らせなければならないなどと考え、出所した暁には恨みを晴らすためにAを殺害しようと決意した。また、判決を言い渡された直後に東京拘置所で、同房の未決囚から懲役7年の刑について「普通より1年か2年重い」と言われたことや、そのような重い刑を気候の厳しい札幌刑務所で受けることになったことから、「Aが自分を裏切って警察に届け出たから、自分はつらい思いをしなければならなくなった」などと恨みを募らせ、服役中も一貫して、出所後にAを殺害しようという決意を持ち続けていた。Mは7年間の服役中、計13回の懲罰を受け、服役中の大半を独居房で過ごしていた。
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