幾何学様式とは? わかりやすく解説

幾何学様式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 05:28 UTC 版)

古代ギリシアの陶芸」の記事における「幾何学様式」の解説

幾何学様式 (geometric style) は紀元前9世紀から紀元前8世紀流行したミノア文明ミケーネ文明図像とは断絶した新たなモチーフ特徴とし、雷文三角形などの幾何学模様が多いが、従来様式多かった円を基本とした図形少ない。特によい例として墓の副葬品がある。もともと副葬品としてまとめて制作されたと見られアッティカや他のギリシャ本土島々様式違いがはっきり出ていることが多い。ただし、年代海外輸出され年代推定可能な形で出土した陶器基づいている。 初期の幾何学様式(紀元前900年から紀元前850年ごろ)は抽象的模様だけの “Black Dipylon” と呼ばれる様式で、黒い上薬多用しているのが特徴である。中期幾何学様式(紀元前850年から紀元前770年ごろ)では、人物動物の姿と思われる装飾見られるうになる当初帯状動物(馬、鹿、山羊ガチョウなど)が並んだ装飾で、それと幾何学的な帯とが交互に描かれていた。絵付師は何も描かれていない部分を残すのをいやがったようで、隙間埋めるようにメアンダーや卍が描かれている。このような余白をいやがる傾向空間畏怖呼び、幾何学様式時代最後までその傾向やまなかった。 紀元前8世紀中ごろ人間の姿が描かれ始めた代表例としてアテナイ古墳ケラメイコスディピュロン)で見つかった陶器がある。それらの陶器片には主にチャリオット戦士行列葬式行列描かれていた。これを πρόθεσις / prothesis(死者陳列悲嘆)または ἐκφορά/ ekphora(墓地への輸送)と呼ぶ。若干盛り上がっているふくらはぎ以外の体の部分幾何学的に単純に表現されている。戦士像はディアボロのような真ん中が細い盾で隠すようにしており、その特徴的な描き方から “Dipylon shield” と呼ばれている。馬や戦車遠近などを考慮せず横から見た形が描かれている。絵付師の署名がないため、この絵付師を「ディピュロン・マスター(英語版)」と呼んでおり、いくつかの記念碑的アンフォラもこの絵付師のものとされている。 この時代末期にはギリシア神話描いた陶器見られるようになった。ほぼ同じころホメーロストロイア叙事詩環『イーリアス』『オデュッセイア』にまとめたと考えられる。しかし、具体的にそれぞれどういう場面描いているかを現代視点解釈することは危険が伴う。2人戦士対峙している絵はホメーロス決闘場面と見られる特定難しい。故障した船はオデュッセウス難破表しているとも見られるが、別の不運な船員かもしれない。 この時代末期にはギリシャ各地方流派ともいうべきものが形成されている。陶器生産アテナイで特に盛んだった原幾何学様式時代と同様、コリントスボイオーティアアルゴスクレタ島キクラデス諸島でも陶工絵付師はアッティカの新様式追随することに満足していた。しかし紀元前8世紀ごろからそれぞれの地方独自の様式生まれたアルゴスでは絵画的場面を描く方向特化しクレタ島では厳密に抽象的な図形を描くことに固執し続けた

※この「幾何学様式」の解説は、「古代ギリシアの陶芸」の解説の一部です。
「幾何学様式」を含む「古代ギリシアの陶芸」の記事については、「古代ギリシアの陶芸」の概要を参照ください。

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