寺社縁起とは? わかりやすく解説

寺社縁起

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/21 07:36 UTC 版)

印旛沼の竜伝承」の記事における「寺社縁起」の解説

上記民話登場する龍角寺龍腹寺龍尾寺とは、千葉県印旛郡栄町龍角寺同県印西市龍腹寺同県匝瑳市龍尾寺である。寺の縁起には上記昔話元になった伝承含まれているが、この伝承は、享保7年1722年)に佐倉藩士の磯辺昌言著した佐倉風土記』で紹介されたことで広く知られるようになったその後安政2年1855年)の『利根川図志』(赤松宗旦著)や大正2年1913年)の『千葉県印旛郡誌』にも収録された。こんにちも、「雨を降らせた竜」や「三つざきにされた龍神さま」といった題で出版されるなどして語り継がれている。 こんにち残る龍角寺縁起は、文化5年1808年)に写筆されたものだとされる縁起によれば、寺は元々は「龍閣寺」という名前であった当時下総国埴生郡呼ばれていた場所に、和銅2年709年)、空から現れ龍女一晩で寺の建物作ったとされている。縁起には次のような伝承含まれている。寺ができてから約二十年過ぎた天平3年731年)、聖武天皇の頃に、国中がひどい旱魃見舞われた。天皇の命により各地雨乞いが行われたが効果はなかった。龍女建立したことから降雨霊験あらたかとされていた龍閣寺にも雨乞い命じられ、釈命上人とその弟子達らが妙法蓮華経法華経)などを読誦するなどの雨乞い行ったそうした折、釈命上人説法のさなかに、南沼の主である龍が大柄な老人の姿をとって現れ、「寺で上げられお経おかげで自分の罪が消えた」と話した。釈命上人を願うと、老人は「自分小龍であるが、龍王逆らってでも人々を救うために降らせる」と答えた老人の姿がかき消える間もなく降り出した7日7晩も降り続き農作物勢い取り戻したがやんだ後、釈命上人村人達が印旛沼に行くと、龍が去る前に言ったとおり、胴体3つ分断された龍のなきがら落ちていた。龍の最後望み沿って、頭の部分を龍閣寺(のちに龍角寺改名)に、腹部地蔵堂(のちに龍腹寺となる)に、尾を大寺(のちに龍尾寺となる)に納めたという。『利根川図志』は「天竺龍角寺」の題で、『佐倉風土記』の記述としてこの伝承を紹介している。 龍腹寺は、龍角寺の釈命上人雨乞い祈祷の際に死んだ龍の腹部納めるために開いた寺だとされている。『利根川図志』では「天龍龍腹寺」の題で寺の伝承紹介しているが、寺は当初龍福寺という名前であり、龍の腹部納めたことから龍腹寺の名に変えたとしている。いっぽうで利根川図志』は、天和元年1681年)につくられた『勝光寺略縁起』での伝承記している。『略縁起によれば龍腹寺古く慈雲山延命院といい、大同2年807年)の空海の上奏による七堂伽藍建築後慈雲山勝光寺延命院の号を受けたその後延喜17年917年)、旱魃際し天皇の命による雨乞い行なった時、龍の奇跡を伴う効験があったことから、天龍龍腹寺の号を受けたという。 龍尾寺縁起明暦元年1655年)に写筆されたとされ、それまでにも12回の転写があったという。その後昭和59年1984年)に弘法大師入定1500年記念して龍尾寺略縁起』が制作刊行された。『略縁起によれば、釈命上人による雨乞い元明天皇の世であった和銅2年行われたとされている。雨乞いが始まると、惣領海岸龍神現れ、空に向かっていった。その際龍神の尾が垂れた場所が尾垂惣領(のち尾垂となった。空に昇った龍は、間もなくその体が3つちぎれて落下したが、直後強い雨降り始めた竜の頭埴生庄に、腹は印西庄、尾は北条大寺郷に落ちた大寺にあった寺に尾が葬られたことで、釈命上人が寺に「龍尾寺」と名付けたという。しかしこの縁起には印旛沼への言及がない。 龍角寺天台宗龍腹寺創建時真言宗で後に天台宗龍尾寺本堂陣内様式天台宗系統であり一時天台宗であったが後に真言宗属しているという。天台宗など密教関連のある宗教では、龍王対す請雨祈祷がしばしば行われていた。龍王とはインド蛇神ナーガ仏教取り入れられた姿で、降雨もたらすとされていた。印旛沼の龍伝承とは、天台宗経典である妙法蓮華経法華経)の教えわかりやすい形で人々広めるためにつくられたとも考えられており、その場合、天台宗普及目的であった推定されうる。

※この「寺社縁起」の解説は、「印旛沼の竜伝承」の解説の一部です。
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