定量分析とは? わかりやすく解説

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ていりょう‐ぶんせき〔テイリヤウ‐〕【定量分析】


定量分析 quantitative analysis


定量分析

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/30 16:55 UTC 版)

定量分析(ていりょうぶんせき、quantitative analysis)とは、試料中にある成分量を決定するために実施する化学分析である。試料中の成分が未知である場合は、定量分析に先立って定性分析を実施する。

古典的には成分重量を測定する重量分析〈じゅうりょうぶんせき、gravimetric analysis〉、容量を測定する容量分析〈ようりょうぶんせき、volumetric analysis〉、化学変化による色調変化を比較測定する比色分析〈ひしょくぶんせき、colorimetric analysis〉の3つの分析方法に分類される。前二者は物理的な物理量を直接測定し物質量を決定するが、比色分析は予め、含量を精密に決定した基準試料〈きじゅんしりょう、authentic sample〉を複数用意して化学変化の度合を未知試料と比較して間接的に決定する。

重量分析では、測定に先立って成分の分離を行い、その後質量を計測する必要がある。たとえば、試料中の塩化物イオン硝酸銀を加えて塩化銀としてすべて沈澱させ、生成した塩化銀を濾過で分離捕集して乾燥重量を測定する。あるいは元素分析では炭素水素窒素量は重量分析で決定する。

容量分析は分離精製した気体の体積測定も含まれるが、通常は滴定法による滴下した容量を測定することを意味する。すなわち、滴下容量は試料中の成分の当量に比例するので、容量から当量を換算して成分量を決定する。

今日の機器分析では色調以外にも、電気光学的強度磁気放射能など多彩な物理量を測定することで定量分析が可能であるが、それらも比色分析同様に基準試料の応答と比較することで間接的に物質量を決定する。測定する物理変化量と物質量の間に、線形なグラフが成立する場合は検量線により、基準試料の空隙を補完することで精密に定量することが可能である。

今日では成分分離に高速液体クロマトグラフィー法を量測定に各測定器を組み合わせた分析機器が定量分析用機器の主流になっている。

純度

定量分析により決定した主成分の試料中に占める割合を純度〈じゅんど、 purity〉と呼ぶ。通常、純度は重量比で示されるが、利用目的によっては重量の代わりに容量で比を取る場合がある。そのため、主成分あるいは全試料の測定方法を示す符号を純度とともに併記する場合もある。

符号 主成分の測定量 全試料の測定量 備考
W/W 重量 重量 測定量無表示の場合は、通常W/Wを意味する。
W/V 重量 容量 滴定用基準試料によく用いられる。
V/V 容量 容量 気体以外はほとんど用いられない。
V/W 容量 重量 極めて稀。

関連項目


参考文献

  • 長倉三郎 ほか(編)「定量分析」『岩波理化学辞典』第5版、CD-ROM版、岩波書店、1998年。
  • 綿抜邦彦「化学分析」『世界大百科事典』CD-ROM版、平凡社、1998年。

定量分析

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 01:17 UTC 版)

ホウ素」の記事における「定量分析」の解説

ホウ素の定量分析には、マンニトール法やクルクミン法、アゾメチンH法、メチレンブルー吸光光度法誘導結合プラズマ発光分析法 (ICP-AES) および質量分析法 (ICP-MS) などが主に用いられており、日本工業規格においてはホウ酸などの試薬純度分析にはマンニトール法が、工場排水試験方法などには吸光光度法ICP法公定法として規定されている。吸光光度法では反応時間妨害成分問題が、ICP法では高価な装置必要になるなどの問題があるため、高価な装置を必要とせず迅速に測定可能な方法として電気化学的な定量分析法開発行われている。 マンニトール法は、ホウ酸とD-(-)-マンニトールとの反応によって定量的発生する水素イオンの量を、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ溶液用いて中和滴定を行うことによって定量する分析法である。ホウ素含有量の高い試料適しており、ホウ酸四ホウ酸ナトリウムなどの純度分析するのに用いられるマンニトール法はリンなどの共存元素による妨害を受けやすく、また中和滴定であるため酸やアルカリ存在している場合先に一度中和しておく必要があるため、複雑な前処理が必要となることもある。たとえば鉄鋼中のホウ素分析マンニトール法を用い場合では、まず試料を酸溶解させたあとにメタノール反応させ、ホウ酸メチルとして蒸留行ってほかの成分からホウ素分離し得られ留出液を蒸発乾固させて生じ残留物硫酸溶解させ、硫酸酸性となっている試料溶液pH水酸化ナトリウム中和しpH調整するという前処理が行われる。 クルクミン法、アゾメチンH法、メチレンブルー吸光光度法はいずれも、ホウ素発色試薬錯体形成することによって生じ発色度合い吸光度として吸光光度計用いて測定しホウ素濃度既知溶液発色させた場合吸光度比較することでホウ素濃度定量する分析法である。クルクミン法はクルクミンホウ素反応して形成されるロソシアニンの赤色発色利用した分析法であり、分析感度は高いもののフッ素など妨害となる元素が多い。アゾメチンH法はアゾメチンHホウ素錯形成反応利用した分析法であり、クルクミン法と比べて分析感度は低いものの妨害となる元素少なく妨害となる元素EDTAによりマスキングすることができる。メチレンブルー吸光光度法は、フッ化水素酸存在下でホウ素メチレンブルー反応して形成されるメチレンブルー-テトラフルオロホウ酸錯体溶媒抽出によって分離して吸光度測定する分析法であり、クロム酸イオンなどが妨害要因となる。 ICP-AES法は低濃度試料においても高感度かつ簡便にホウ素濃度の定量分析を行うことができるが、装置価格は非常に高価である。通常は182.64 nmもしくは249.77 nm発光波長利用されるが、後者では高感度であるものの妨害を受け、前者妨害受けないものの低感度である。また、試料分解中にホウ素揮発することもあり誤差要因となる。 また、ホウ素中におよそ20 %ほど含まれている10Bの熱中性子吸収能が非常に大きいことを利用して熱中性子線を試料照射して熱中性子線密度変化測定することでもホウ素の定量分析が可能である。非破壊かつ迅速に連続分析を行うことができるため、排水中のホウ素濃度モニタリングなどに応用されている。

※この「定量分析」の解説は、「ホウ素」の解説の一部です。
「定量分析」を含む「ホウ素」の記事については、「ホウ素」の概要を参照ください。

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