定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 19:30 UTC 版)
「ウイルス定量」の記事における「定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)」の解説
詳細は「定量PCR」を参照 定量PCR(Quantitative polymerase chain reaction; qPCR)は、ポリメラーゼ連鎖反応を利用してウイルスDNAまたはRNAを増幅し、蛍光により検出と定量を行う分析法。一般に、qPCRでは、未知のサンプルと既知の濃度の標準の段階希釈を検量線として並行して比較分析することで定量する。定量的検出は、配列特異的プローブやSYBR Greenなどの非特異的蛍光色素など、さまざまな蛍光検出法により行う 。TaqMan (Applied Biosystemsが開発)、Molecular Beacons、またはScorpionなどの配列特異的プローブは、反応中に生成された適切な配列のDNAにのみ結合し蛍光を発する。 SYBR Green色素は、反応中に生成されたすべての二本鎖DNAに結合し蛍光を発する。SYBR Greenは利用しやすいが、特異性がなく感度が低いため、配列特異的プローブのqPCR検出法が使用されることが多い。内部標準を含む複数のサンプルからのCt値(増幅産物が統計的に有意な増加を示したPCRサイクル数)の比較を通じて相対定量を行う比較しきい値法などqPCRには多くのバリエーションがある。PCRは、完全な感染性ウイルス粒子(ビリオン)、壊れたウイルス粒子、溶液中の遊離核酸を含む、すべての標的核酸を増幅する。このため、qPCRの結果(ゲノムコピー/ mLで表される)は、TEMの結果よりも通常大きな値になる。ウイルスの定量化では、核酸のコピー数に対するビリオンの比率が1対1になることは稀である。これは、ウイルス複製中に、核酸とウイルスタンパク質が常に1:1の比率で生成されるとは限らず、ウイルスの組み立てプロセスにより、完全なビリオン、空のキャプシドや、過剰な遊離ウイルスゲノムが生じることによる。口蹄疫ウイルスの例では、活発に複製している宿主細胞内の全ビリオンとRNAコピーの比率は約1:1000である。qPCRベースのウイルス定量用の製品は、多くの企業から市販されている(例: Invitrogen、Roche、Qiagenなど)。 qPCRによる定量の利点には、迅速な分析時間(1〜4時間)と感度(他の方法よりもはるかに低い濃度のウイルスを検出できる)などがある。
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