大正時代の「幻の発見」とは? わかりやすく解説

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大正時代の「幻の発見」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 01:58 UTC 版)

糸魚川のヒスイ」の記事における「大正時代の「幻の発見」」の解説

青木重孝監修の『糸魚川市第1巻』(1976年)では、糸魚川では大正時代に2回ヒスイ発見(ただし確証なし)があったことを記述している。最初1917年大正6年)の秋のことで、青木自身根知付近道路で轍の中に2個に割れた緑色の石を見つけている。青木当時旧制糸魚川中学校2年生で、その石を同校博物地理教師務めていた今井一郎見せた今井即座に「これは日本にはない珍しい鉱物と言い、その石は校内保管された。1923年大正12年)にはその石を八幡一郎見たといわれる1951年昭和26年12月31日付の新潟日報記事によれば後藤守一1930年代1931年-1932年頃)に、同校鉱物標本室で「富山県黒部峡谷産」のヒスイ見たという。ただし、後藤見たヒスイ」が青木採集したものと同一であるかは不明の上その後青木採取したヒスイ」は1945年頃最後に行方がわからなくなった2回目1923年大正12年)のことであった発見者八幡で、彼は北陸旅行の際に糸魚川訪問したその際長者ヶ原遺跡立ち寄って白色緻密で緑班のある石を拾い東京まで持ち帰った八幡東京帝国大学理学部地質学教授坪井誠太郎にこの石の鑑定依頼した坪井はこの石について白色石英岩であり、緑班は変質鉱物鑑定している。八幡は後の勤め先となった高樹町現在の東京都港区南青山にあった資源科学研究所でこの石を保管していた。しかし、この石も1945年昭和20年5月起きた山の手大空襲資源科学研究所もろとも焼失した宮島宏は『国石翡翠』(2018年)と『日本国石「ひすい」-バラエティー富んだ鉱物の国-』(2019年)において、2つの石について考察している。青木発見した石について「道路の轍で割れていた」という記述から、宮島は「強靭な翡翠荷車踏まれたぐらいでは割れない」と疑義呈した。石を「ヒスイ」と鑑定した今井地質学専門家ではなく、なぜ即座に「これは日本にはない珍しい鉱物」と断定したのか、また、なぜ学会発表しなかったのか不明である。青木が石を見つけた当時日本産ヒスイはないと考えられていた。50年以上が経過した1972年昭和47年)の新潟日報記事によると、今井日本にはない鉱物の名前を言ったものの、青木はその名前を嬉しさあまりに聞き流していたという。宮島はこの記述について、今井その後2年半以上同校勤務していたことと、石が標本室展示されていたことから、なぜ青木再確認を行わなかったのかという点にも疑義呈している。宮島後藤1930年代初めに見たというヒスイの礫(青木発見したとされるもの)についても検証し、「(日本国内翡翠発見されていない時期に、翡翠原石発見されていたことは、国内翡翠産地存在示唆する極めて重要な証拠考えられる」とした。ただし、後藤はこの件について約20年経過した1951年昭和26年)まで公表していなかった。 八幡発見した石も既に失われていることから、坪井による鑑定正誤を問うことは不可能である。しかし、宮島八幡1941年)や糸魚川市教育委員会1964年序言に、坪井鑑定した石こそ実はヒスイだったのではないかとの記述があることを指摘した宮島坪井鑑定について、寺村光晴(1968年1995年)や藤田富士夫(1992年)によって「ヒスイ日本産出しないという先入観」や「不十分な鑑定」という意見があることを紹介したものの「誤鑑定だと実証できない状況でのこの記述には疑問感じる」と記述した長者ヶ原遺跡長期わたって発掘調査担当した木島によれば、同遺跡にはヒスイ石英岩の双方存在するという。そして、坪井1986年昭和61年)まで存命だったので、八幡寺村当時鑑定方法について確認することも可能であったとする。

※この「大正時代の「幻の発見」」の解説は、「糸魚川のヒスイ」の解説の一部です。
「大正時代の「幻の発見」」を含む「糸魚川のヒスイ」の記事については、「糸魚川のヒスイ」の概要を参照ください。

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