基本的な回路素子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/26 16:33 UTC 版)
導線:単純なパイプ。 抵抗:細くなったパイプ。 キルヒホッフの第1法則における節点:T字管。 太いパイプに水を満たしたものは導線に相当する。導線に例える場合は、パイプの両端にキャップがついていると考える。導線の片方の端を回路に接続することは、パイプの片方の端のキャップを外して別のパイプに接続したことに相当する。高圧電源に接続したような少数の例外を除き、片方の端だけ導線を回路に接続しても何も起こらない。他方の端にはキャップがついたままなので、回路には何も流れない。 抵抗は細くなったパイプに相当する。細いパイプでは、同量の水を通すにもより強い圧力を必要とする。いかなる導線にも電流に対する抵抗があるように、すべてのパイプもまた、水が流れる時に抵抗がある。 キルヒホッフの法則におけるノード(接点)はパイプの分岐に相当する。分岐に正味で流入した量と同じだけ流出がある。 コンデンサ:柔軟なダイアフラムで仕切られたパイプ。 コイル:流れの中に設けられた重い水車もしくはタービン。 電圧源(電流源):フィードバック制御されたポンプ。 水流モデルにおけるコンデンサは、両端がそれぞれパイプにつながったタンクで、タンク内がゴムシートで分割されている(油圧アキュムレータ)状況に相当する。水が片方のパイプから入り込むと別の側のパイプから出ていくことになるが、ゴムシートを水が貫くことはない。ゴムが伸びることによってエネルギーを蓄えることができる。より多くの水がコンデンサを「通る」につれて、コンデンサの流入側圧力は高まる。このように、コンデンサでは電流が電圧を生み出すといえる。流入側の内圧が印加された圧力と等しくなるにつれて電流は減っていく。このようにして、コンデンサは一定の圧力やゆっくり変化する低周波圧力を通過させず、高速で変化する圧力のみを通過させる。 インダクタは水車に相当する。水車の質量とブレードのサイズが大きいと、慣性によって水の流速はゆっくりとしか変化できなくなる。しかし、一定流速の流れは、充分な時間が経てば水車から抵抗を受けずに通過できるようになる。このとき水車は流速と等しい速度で回転している。水車の質量やブレード表面積はインダクタンスにあたり、軸とベアリングの間の摩擦はインダクタの抵抗に対応する。別のインダクタのモデルとして、単に長いパイプを考えることもできる。考えやすいように渦巻き状に捻ってあっても構わない。流体の慣性を利用するこのようなデバイスは、水槌ポンプの基幹部に実際に用いられている。パイプを通る流水の慣性はインダクタンスの効果をうみだす。インダクタは流れの急激な変化を「排除」して、遅い変化だけを通過させる。パイプ内壁から流体が受ける抵抗力は寄生抵抗に例えられる。いずれのモデルでも、最初に電流が流れ始める時にはインダクタをまたいだ圧力源(電圧)が必要である。このようにインダクタ中では電圧が電流を生み出す。電流が増加し、素子内部の摩擦や回路中の他の素子が定める限界の大きさに近づくにつれて、インダクタをまたいだ圧力低下は小さくなっていく。 理想的な電圧源(電池)はフィードバック制御付きのポンプである。両端に圧力計を置けば、電流がどんな値であってもこの種のポンプは一定の圧力差を作ることがわかる。回路の一端が接地されているなら、ポンプのモデルの代わりに、水が高い位置に貯められていて、多少の水が流れても水位が変化しないほど充分な量がある状況を考えてもよい。理想的な電流源のアナロジーを考えるためには容積式ポンプを用いることになる。流量計を付ければ、このようなポンプが一定速度で駆動すると流速が一定に保たれることがわかる。
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