国際標準と結ばれた時刻、時間、周波数
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「日本標準時」の記事における「国際標準と結ばれた時刻、時間、周波数」の解説
1983年(昭和58年)4月東京天文台でGPS衛星を利用した時刻比較方式の定常運用が開始されたことにより、東京天文台の原子時計は欧米の原子時計と一億分の一秒の精度で時計比較が可能となった。これによって、ロランCの電波で東京天文台と時計比較しているアジア諸国の原子時計も、1983年(昭和58年)後半から欧米並の精度となり国際原子時の決定に寄与できることになった。なお、これまでは、極東地域のロランC電波は欧米の機関では遠すぎて精度よく受信することができないため、欧米の原子時計とアジア諸国の原子時計とは精度のよい時計比較ができず(典型的な精度比較で、欧米内で 0.05 マイクロ秒であるのに対し、アジアと欧米の間では、0.2 マイクロ秒)、東京天文台の原子時計はパリの国際報時局(BIH、現IERS)が決めていた国際原子時を形成する平均の母集団に参加できていなかった。 1984年(昭和59年)1月中央標準時は協定世界時 (UTC) に9時間を加えた(進めた)もの(厳密に言えば、法律に従って東京天文台が現示している中央標準時は、東京天文台で作られる協定世界時(区別して UTC(TAO) と書かれる)に9時間を加えたもの)であるといわれる。この背景には、前年から始まったGPS衛星を利用した時刻比較方式により、東京天文台の原子時計が国際原子時の決定に寄与できるようになったことがある。 2月電波研究所でも、汎地球測位システム (GPS) 衛星のL1バンド (1575.42 MHz)、C/Aコードを利用した時刻比較受信機を開発、受信開始。これにより、今まで欧米から独立していた日本の原子時計が結合され、初めて国際原子時決定に寄与することとなる。これらのデータは、国際報時局(BIH、現IERS)へ送り始める。また、セシウムビーム一次周波数標準器Cs1 (RRL) の確度評価値を年1-2回不定期に送り国際原子時の較正寄与を開始。 1988年(昭和63年)1月1日国際報時局 (BIH) が国際地球回転観測事業(IERS、現 国際地球回転・基準系事業)に改組され、国際原子時、協定世界時などの原子時計や周波数に関連する業務が、国際度量衡局に移管される。 地球回転の観測は、原子時計の精度とかけ離れた写真天頂筒 (PZT) から、電波、レーザーを使った高精度の距離観測(VLBI、月・人工衛星レーザーなど)に移行することになる。 4月8日郵政省組織令に改正により、郵政省電波研究所 (RRL) が郵政省通信総合研究所 (CRL) と名称変更する。 7月1日国立学校設置法施行令の改正により、東京大学に附置される研究施設の東京天文台 (TAO) が、大学共同利用機関の国立天文台 (NAOJ) に改組される。 1992年(平成4年)5月20日新たに計量法が全面改訂され、国の機関が時間の計量単位としての秒を現示する定めはなくなった。時間の計量単位の現示に関する指定がない状態が継続する。 2003年(平成15年)4月1日国の機関による時間の計量単位としての秒の現示に代わって、時間(秒)の逆数で表される周波数について、経済産業大臣が特定標準器として、国際標準(国際原子時・協定世界時)と比較され確度評価された周波数標準器(原子時計)を指定することになる。特定標準器には通信総合研究所 (CRL) と産業技術総合研究所計量標準総合センター (NMIJ) の周波数標準器が指定された。これにより、時間・周波数の計量単位の国家標準(特定標準器)とトレーサビリティが確立できるようになる。
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