国家無答責の法理とは? わかりやすく解説

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こっかむとうせき‐の‐ほうり〔コクカムタフセキ‐ハフリ〕【国家無答責の法理】


国家無答責の法理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 03:36 UTC 版)

国家賠償法」の記事における「国家無答責の法理」の解説

国家無答責の法理(こっかむとうせきのほうり)とは、国家無答責の原理ともいわれ、国家ないし官公吏公務員)の違法な行為によって損害生じても、国家賠償責任負わないことを言う。 国家賠償責任に関しては、古くから、公務員違法行為がなぜ国家帰属せしめられるかという問題がある。近代国家においては伝統的に公務員行為違法であって国民に対して損害賠償認められるにしても、それは本来違法行為行った当の公務員個人責任を負うべきが筋であって個人責任)、国家公務員に代わって賠償責任を負ういわれはないと考えられていた。 たとえば、イギリスでは1947年まではCrown can do no wrong. (国王は悪をなし得ない)という法格言通用していた。アメリカにおいても、1946年までは、主権免責法理通用していた。大陸法系諸国をみても、ドイツにおいて1910年までは、ドイツ民法839条が加害公務員個人責任認めるに留まっていた。 しかし、このような法理によると、公務員過大な賠償責任を負うことになり、また被害者の救済という観点からも問題があると考えられる。 そこで、この法理は、1800年代後半フランスでコンセユ・デタ(行政裁判所)の判例によって公役過失ないし危険責任理論により国家賠償責任肯定された1873年ブランコ判決端緒に、各国法体系において否定されるようになったドイツでも、1871年ドイツ法大会で国家賠償法立法化決議され、翌1910年連邦においてGesetz über die Haftung des Reichs für seine Beamten(官吏責任法)が制定され国の代位責任肯定された。その後1919年にはヴァイマル憲法において制度化される。 アメリカ合衆国では、1946年en:Federal Tort Claims Act連邦不法行為請求権法)が制定され従来主権免責改正された。この立法では連邦政府私人同等責任能力認めているが、過去判決遡及して賠償請求する権利懲罰的損害賠償については否定している(28 U.S.C.2674)。また、「法が留保する限度において」州法適用認めており(28 U.S.C.1346(b))、この場合Federal Tort Claims Actの適用制限課される可能性がある。 イギリスでは、公務員個人責任には広く認められていたが、1947年Crown Proceedings Act国王訴追法、国王訴訟手続法)が制定され、国についても責任認められるようになった明治憲法下日本では国家活動権力活動と非権力活動とに区分し、非権力活動例え国有鉄道活動のような私経済活動については、早くから国の不法行為責任成立認めていたが(大審院判例明治31年5月27日大審院大正8年3月3日信玄公旗掛松事件)、権力活動についてはこれを認めず大審院判例明治43年3月2日大審院昭和8年4月28日)、公務員個人責任否定されていた。 戦後の日本では、国家賠償法1条において、公務員公権力行使行為によって国又は地方公共団体責任を負うとし、国家問責法理否定され判例により、公務員個人賠償責任認められていない後述)。

※この「国家無答責の法理」の解説は、「国家賠償法」の解説の一部です。
「国家無答責の法理」を含む「国家賠償法」の記事については、「国家賠償法」の概要を参照ください。

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