国家海洋局時代
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2013年7月22日、国家海洋局の庁舎に掲げられていた「中国海監総隊」の看板が外されて、新たに「中国海警局」の看板が掲げられた。また同日を境に、船艇の外観標識も「中国海警(CHINA COAST GUARD)」で統一された。 2013年3月の全人代での発表では、公安部の「運用指揮」のもとで、国家海洋局が海洋権益と法執行に責任を持つことが規定され、国土資源部が組織管理、公安部が業務遂行の主導権を握る体制となった。この結果、国家海洋局と中国海警局は実体としては同一組織であるにも関わらず、例えば国家海洋局局長は前局長が留任しつつ中国海警局の政治委員を兼任し、公安部副部長が中国海警局局長となりつつ国家海洋局の副局長を兼任するなど、幹部人事が交錯する複雑な体制となった。 2014年12月12日には「国家海洋局工作規則」が制定され、国家海洋局と中国海警局の職責分担が明確化された。国家海洋局の主要職責は「海洋総合管理の強化、海洋発展計画の立案、海上における権益保全のための法執行の展開、海域及び島嶼使用の監督、海洋環境保護の実施等」としたうえで、国家海洋局と中国海警局の職責分担について「国家海洋局の海上における権益保全のための法執行業務は、局党指導のもと、中国海警局の名義をもって展開し、具体的には中国海警局長が指揮し、重大な問題は局党組織に報告の上決定する」とされた。 船艇の外観標識が統一されたあとも、実施部隊の組織としては従来のものが存続しており、海警局としての統一化は順次に進められていった。従来の海監海区総隊の各支隊と漁政海区総隊を統合して海警局の海区分局が、また海警支隊と海関海上密輸取締処を統合して沿海省・自治区・直轄市の海警総隊が編成されていった。 従来、要員の採用・試験および訓練は各機関がそれぞれ行ってきたが、再編後は、これらの機能は中国海警局として統合して行われるようになった。中国海警局で新しく幹部になる唯一の方法は人民武装警察の任命を受けることであり、2015年新卒より、幹部候補生としての採用が開始された。採用された新入幹部は、学歴に基づく等級・階級で人民武装警察の任命を受ける。しかし各機関には独自の文化・船艇・訓練技術および武器使用ドクトリンがあり、これらを統一することは困難だった。 また上記のように組織系統が統一化されていったとはいっても、それぞれの海区分局では、依然として海警現役部隊と旧海監海区総隊とは別々の部隊として組織されていた。既存の要員が有する経験は出身機関ごとに著しく異なっており、例えば辺防海警は12海里の領海の哨戒を主任務としていたために、東シナ海や南シナ海の海上係争海域を哨戒した経験はほとんどなかった。
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