北海道の場合
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北海道ではテレビ北海道(TVh)とエフエム・ノースウェーブ(NORTH WAVE)が平成新局であるが、バブル経済崩壊の影響を道外より強く受けているため、老舗の在札民放テレビ4局やラジオ2局に比べて収益が伸び悩み、中継局の設置がままならない。 そのため、NORTH WAVEでは空知・檜山・日高・留萌・宗谷・根室・胆振・オホーツク全域において未だ中継局が設置されていない。 更にTVhは上記地域に加えて釧路・十勝全域が地上アナログ放送時代は中継局置局対象外とされ、エリア外地域の一部では遠距離受信やケーブルテレビによる再送信による視聴も可能では合ったが、特にTVhとNORTH WAVEの無いオホーツク・根室管内では、遠距離受信さえ困難あるいは不可で電波事情が非常に悪く、オホーツク管内ではケーブルテレビ(遠軽町の白滝ふるさとテレビ)があってもTVhの再送信は行ってこなかった。 そんな中2010年12月21日、TVhが2010年度補正予算に入っている「地デジ移行に伴う中継局整備支援事業」を使って、地上デジタル放送完全移行直後の2011年8月から11月にかけて、網走送信所・帯広送信所・釧路送信所・北見中継局を開局させることを発表した。そして2011年6月1日に免許申請していた前者4送信所・中継局に予備免許が交付されたため、唯一全域で見られなかった北海道東部(すなわち、道東)での開局が現実のものとなった。なお4送信所・中継局は、釧路送信所が8月26日に、帯広送信所が11月7日に、網走送信所と北見中継局が11月11日にそれぞれ開局済み。またTVhは開局時期が未定となっている残りのアナログ未開局地域も順次設置する方針を打ち出しており、2012年には道央地区の北芦別中継局、道北地区の和寒中継局・上富良野中継局・富良野中継局・名寄中継局など、道東地区の忠類中継局・豊頃茂岩中継局・広尾中継局・足寄中継局・白糠中継局・新網走中継局・北見仁頃中継局・留辺蘂中継局などあわせて27か所の中継局がデジタル新局で開局した。特に上川総合振興局管内では中川町を除くほぼ全域で、十勝総合振興局管内では陸別町を除くほぼ全域でカバーされる形となった。2013年度は道北地区の上川、道東地区の陸別・弟子屈・阿寒・紋別・遠軽・佐呂間・丸瀬布・滝上など合わせて13か所の中継局がデジタル新局で開局。更に2014年度には宗谷総合振興局管内の知駒・稚内・枝幸・西稚内・北稚内・上勇知・抜海・幌延・礼文船泊及び室蘭地区の三石本町、網走地区の興部・津別、釧路管内の阿寒布伏内の13局がデジタル新局として開局し、これにより上川総合・留萌・オホーツク総合各振興局管内では全域のほとんどの世帯で視聴可能となった。道域ラジオ局の方もradikoの配信開始で難聴取地域が解消されていき、長らくradiko未配信だったNORTH WAVEも2015年7月30日より配信開始され、難聴取地域が解消された。 なお、この「電波格差」が大きな事件を引き起こす問題に至っている。それが2008年3月に発覚した中標津町での在札民放FM2局の「違法中継事件」である。これは釧路送信所から出されている在札民放FM2局(AIR-G'、NORTH WAVE)を法定の出力を超える高出力で中継していた。しかし他の無線への障害が発生し、北海道総合通信局の告発を受けて中標津警察署が調べていたところ、町内の電器店でFMアンテナが向けられていたことから電波法違反で事情聴取。そして、店主が逮捕される事態に発展した。開局以来このようなことが行われたケースは初めてのことである。 また、中標津町はAM2局(HBCラジオ・STVラジオ)を聴くことも難しく何度も両局への陳情が行われたが、両局の諸事情から開局は実現しなかった。この一件と先述の違法中継事件がきっかけで、2008年4月にコミュニティ放送局・FMなかしべつ放送(FMはな)が設立、8月20日に開局した。
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