北欧モデル(平等モデル)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 22:45 UTC 版)
一方で、ノルウェーは2009年、売り手である被買春女性を非犯罪化し、保護・支援の対象とし、他方で、買春者、ピンプ、業者などを処罰の対象にした。アイスランド(2010年)も続いたことにより、北欧モデルと呼ばれる。北欧モデル型立法の目的は、第一に、売買春を風俗犯罪や道徳的な悪とみなすのではなく、女性に対する搾取と暴力、性差別の一形態であるとの基本認識に立ち、その廃絶の一環としてこの法を立法し執行すること。第二に、自己の性を買われる(売らされる)側の女性を被害者とみなして非犯罪化し、逆に、買い手を直接の加害者として処罰し、同じく斡旋業者、その他の便宜供与者などを搾取者ないし共犯者とみなして厳しく処罰すること。第三に、売春従事者の離脱と転職を支援し、被買春女性が必要とする生活上・教育上・医療上・精神上のさまざまなサービスと支援を積極的に提供すること。したがって北欧モデルは、刑事的に取り締まるばかりではなく、福祉的・行政的役割をも担う法体系である。また、韓国では、加害者である買春者に対する再教育も行う。第四に、女性を売春へと追いやり誘導するさまざまな差別構造、貧困、福祉の貧弱さ、児童虐待やネグレクト、性暴力の蔓延、女性を性的なモノへと還元するポルノなどの性差別文化などの諸原因に総合的に取り組み、それらの縮小と克服を公的機関と市民による努力によって徐々に実現することである。 欧州連合評議会は2014年、北欧モデルを推奨する決議を採択し、国際人権団体イクオリティ・ナウやヨーロッパ・ウィメンズロビーも北欧モデルを支持する立場を表明している。これに続き2014年にカナダ、2015年に北アイルランド、2016年にフランス、2017年にアイルランド共和国と北欧モデルが広がっていっている。
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