化学合成油の概念を変えた
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 05:38 UTC 版)
「カストロール」の記事における「化学合成油の概念を変えた」の解説
USカストロールが、超精製油(高度水素化分解された高粘度指数鉱物油 APIのベースオイル(基油)の分類でグループ3になる。例 VHVIなど)を用いた、<Syntec>というエンジンオイルを「化学合成油」として販売する。これに対してモービル[要曖昧さ回避]は「化学合成油はPAO(ポリアルファオレフィン グループ4)、もしくはエステル系(ポリオールエステル、ジエステルなど グループ5)を意味し、グループ3ベースオイルを用いたモーターオイルは化学合成油でない」と主張し、アメリカの広告審議会(NAD)の審判を仰ぐ。評決はカストロールが勝訴し、グループ3も化学合成油として表示することが認められた。今では訴えたモービル(現エクソンモービル)をはじめ、多くのオイル会社がグループ3を用いたオイルを化学合成油(シンセティックオイル)として販売している。 日本でも化学合成油の定義がないため、グループ3基油を用いたエンジンオイルは、会社によって「鉱物油」として売られたり、あるいは「化学合成油」で売られていたりして統一されておらず、消費者に混乱を与えている。 従来、日本で販売されていたカストロールの化学合成油、 シントロンや、RSシリーズはある時期からエステルを省き、PAOベースのみの処方に変更された。安価な化学合成油の一番手として、ホームセンター向けに超精製基油ベースのRSXというオイルを概ね4L3500円前後で「化学合成油」として販売開始した。その後このRSXはカタログ商品となり、一般的にカー用品店で4L5000円前後で販売された。またそれに続いたRSシリーズの後継商品のEDGEシリーズでは、VHVIやVHVI・PAOが主流のベースオイルになってゆく。また基油の表記もある時期から「100%化学合成油」を「全合成油」に改めた。なおシントロンとRSは二輪・四輪共用オイルであったが、現在シントロンの後継エッジ5W-50、現行RS10W-50には「二輪車には使用できません」と表示されている。これは同社の二輪専用化学油パワー1シリーズが販売されたことにより、JASO T903の分類テストを実施していないためで、実際のテストで不具合が生じたからではない。なおBPブランドの二輪車用ビストラシリーズはカストロールとの統合後、大きくラインナップが削減され、専門店用マニア向け二輪オイルの販売は廃止された。 RS ヒートプロテクション10W-50はEDGEシリーズに組み入れていなかったが、2008年からEDGE RSとなった。と同時にACEAA3の認証製品ではなくなった。 ビーピーカストロール(ジャパン)はCastrol(カストロール)ブランドのほか、bp(ビーピー)、ダッカムス(DUCKHAMS)ブランドでも化学合成油を販売しているが、bpブランドの量販店向け商品である、<バービス>、<レーシング>、輸入車用の<ユーロ&US>シリーズの化学合成油も、ある時から銘柄、容器のデザイン、販売価格の変更がないのにも関わらず、<エステル+PAO>(実際にはPAOの方が比率が多い)から、<PAO配合>に表示が変わった。併せて基油の表示が「100%化学合成油」から「全合成油」に改められ、WEBサイトに公表されていた動粘度や粘度指数などの代表性状が削除されている。ちなみにバービスシリーズの部分合成油は<VHVI+PAO>から<PAO配合>に変わっている(但し、<ユーロ&US>シリーズドイツ車用を除く)。なお、bpブランドの整備工場向けオイルは基油は変更せず、グループ3(VHVI、HC-S)の高粘度指数油を用いた「部分合成油」、「高度精製油」といった表記の方を「全合成油」と改めた。このためランナップの殆どが「全合成油」になってしまった。なおマニア、サーキット向けのBP<VIGORAS(ビゴラス)>シリーズは廃番になった。 2009年夏、缶のパッケージデザインが変更になり、バービスシリーズの<PAO配合>といった具体的な基油の記載は削除され、「2輪車には使用できません」と追記された。この時、<レーシング>シリーズ、<ユーロ&US>シリーズは廃止され、0W-40、10W-50といった高粘度のオイルが<バービスレーシング>となり、<バービス>シリーズから離された。
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