化学合成生態系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 09:39 UTC 版)
深海での食物連鎖は、海の表層から降下してくる有機物のみに依存すると思われていたが、1970年代から各国で進められている深海探査により、浅海の生産物に頼らない独立した生態系が存在することが明らかになった。この生態系を化学合成生態系という。 海嶺や海底火山の周囲にある熱水噴出孔では、300℃以上もの熱水が噴き出している。その周囲には熱水中に含まれる硫化水素や水素をエネルギー源にして生存する化学合成細菌や古細菌が繁殖している。これらを体内に共生させるチューブワーム(ハオリムシ)やシロウリガイ、細菌を餌にするカイレイツノナシオハラエビ、さらにそれらの生物を餌にするイソギンチャク、シンカイコシオリエビ、ユノハナガニ、ゲンゲなどが世界各地の熱水噴出孔で次々と発見されている。 生物の生息密度は、ふつう沿岸から離れた深海ほど低くなるが、熱水噴出孔の周囲は高密度で生物が生息している。
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