化学合成品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/31 06:53 UTC 版)
オクトレオチドはソマトスタチン模倣ペプチドの一つであり、成長ホルモン、グルカゴン、インスリンの分泌阻害効果が強化され、半減期が大きく延長されている(約90分、ソマトスタチンは2〜3分)。消化管からは吸収され難いので、非経口的(皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射)に投与される。カルチノイド症候群(英語版)および先端巨大症の対症療法に使われる。多発性嚢胞腎や嚢胞肝への使用も増加している。 ランレオチド(英語版)は先端巨大症の対症療法ならびに神経内分泌腫瘍の症状緩和、さらにはカルチノイド症候群の治療に用いられる。オクトレオチド同様に長時間作用型のソマトスタチンアナログである。ランレオチドは英国、豪州、カナダ、米国等で入手できる。 2016年11月日本でも先端巨大症および下垂体性巨人症治療薬パシレオチド(商品名シグニフォー,ノバルティス製造販売)が薬価収載された。ソマトスタチン受容体には5つのサブタイプ(SST1~SST5)が存在している.成長ホルモン産生腺腫(先端巨大症)では,このうちSST2とSST5が発現している.従来用いられてきたソマトスタチンアナログ製剤であるオクトレオチドとランレオチドは,主としてSST2に結合する薬であり,SST5への結合能は弱い.一方,ACTH産生下垂体腺腫(クッシング病)にはほぼSST5のみが発現している.パシレオチドは,SST1~3 および SST5 に結合する新規のソマトスタチンアナログ製剤であり,オクトレオチドやランレオチドに不応の先端巨大症やクッシング病への効果が期待されている.しかし,本剤が膵β細胞のSST5にも結合するため, GLP-1, 血糖依存的なインスリンの分泌を抑制する一方、食後グルカゴンの分泌は維持される.このため,高血糖が起こる.
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