制作上の苦難(第1弾)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 20:53 UTC 版)
「ストーリー311」の記事における「制作上の苦難(第1弾)」の解説
取材を通じての事情から、多くの漫画家たちが制作にあたって苦悩し、執筆には普段の作品よりはるかに時間を要していた。 漫画は誰にでもイメージが伝わりやすい分、聞いたことを細かい部分までの絵での再現が困難な作業であることも、制作に時間を要する要因の一つであった。ひうらは、現実は漫画と違うと感じる読者もいるかもしれない、取材相手の人の顔を作品中で描くにも創作的な部分をどの程度交えるべきか迷い、普段の仕事よりも作画にずっと時間がかかったが、現地の人たちの気持ちを考え、一生懸命に見たことを伝えることを心がけた。 第4話、第6話、第7話で福島県のエピソードを担当したひうら、岡本、ななじの3人は、福島原発事故を避けて描くことはできないため、複雑な事情を抱えた土地を描くにあたって抵抗、重圧、苦悩を感じていた。 しかし現地の被災者たちから「震災で辛い体験をした直後は、話したくても話せないことがあったが、時間の経過につれ、自分自身が震災を忘れかけていることに気づいたので、漫画により自分のことを人々と共有したい」との言葉を受け、被災者たちの想いを伝えることに納得ができたという。福島と原発についても、「実態がわからないために遠巻きに見ようとする姿勢が、却って現地の住民を傷つけている要因になっている」とわかったことで、迷いは軽減された。 1話あたり8ページの短編といいう限定された範囲内で、取材内容をどれだけ詰め込むかの判断も、困難な作業であった。第10話で岩手県大船渡市と大槌町を担当した新條まゆは、ページ数の制限に加えて、取材相手が2人ということもあり、後書きで「皆は取材内容をわかりやすいストーリーにまとめているのに、私はストーリーへ消化できなかった」「レポート漫画になってしまった」と述懐した。東村も当初は予定のページ数を遥かにオーバーしており、泣く泣く半分に減らしたという。
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制作上の苦難(第2弾)
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「ストーリー311」の記事における「制作上の苦難(第2弾)」の解説
通常の漫画よりも制作に時間を要した事情も第1弾同様であり、新條まゆは、通常8ページのネームであれば半日で完成できる分量であるところが、本作は8ページ分のネームの仕上げに10日以上を費やしたという。 さちみりほは福島原発事故を取り上げ、事故後の福島第二原子力発電所で誹謗中傷を浴びつつも懸命に働く原発の作業員の姿を描くにあたり、当初は取材相手の作業員から漫画化を反対されて、「漫画を描くあなたまで非難されるから、描かないでほしい」と何度も言われたが、熱意を込めての説得で漫画化の許可を得て、自ら放射線防護服を着てボランティアガイドたちと共に旧警戒区域を回った。実際の執筆にあたっては、東京電力から公表されている写真が資料として用いられたが、資料としては十分ではなく、また原子力発電所があまりに世間と乖離した設備であることに、非常に苦心を強いられた。こうして描き上げられた作品は、ひうらさとるが「すごいインパクト」と称え、参加した漫画家たちの総意で単行本巻頭の第1話として収録されたものの、さちみ自身は「描き切れなかったことが多すぎる」と悔い、「自費出版でも彼らを描き続けたい」と話した。 「さちみりほ#ストーリー311」も参照 葉月京の描いた第3話では、福島県郡山市に住む若い夫妻を、葉月が自分の住む大阪へ避難させ、夫妻が自分たちの行動が正しいか葛藤するエピソードが描かれているが、その裏では葉月は、自身がかつて震災前に、佐賀県の玄海原子力発電所のプロモーションビデオ制作に携わっていたことに対して、責任を感じていたという。
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