光速度の測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/19 09:01 UTC 版)
フィゾーは、世界初の太陽の写真撮影や水中の光速度が空気中より遅いことの証明、光の干渉実験などを行った。 物理学史上有名なのは1849年に回転歯車を用いて光速度の測定を行なった野外実験である。彼の得た値は3.15×105km/sであった。そして、この数値は、電磁気学のヴェーバー、コールラウシュ、マクスウェルらの理論と照らしあわされることで、重大な影響を与えた。なかでもマックスウェルは自作の理論の中で出てくる計算値のひとつがフィゾーの実験値にとても近いことを知って、自分が求めたものはフィゾーの光速だと思われることを禁じえないという、知人宛の手紙が残っている。 後に、フーコーは室内で実験より良い数値を得たが、それはフィゾーよりずっと後のことである。 この他、光にたいしてもドップラー効果が現れると主張した。そのため天体の光のドップラー効果のことをドップラー・フィゾー効果と呼ぶことがある。
※この「光速度の測定」の解説は、「アルマン・フィゾー」の解説の一部です。
「光速度の測定」を含む「アルマン・フィゾー」の記事については、「アルマン・フィゾー」の概要を参照ください。
光速度の測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 05:36 UTC 版)
近代まで、光は瞬間的に伝わるのか、それとも有限の速さで伝わるのかは不明だった。エンペドクレスは初めて光の速さは有限だと主張した。一方でアリストテレスは光は運動ではなく、瞬間的に伝わると論じた。イブン・ハイサムは光は有限の速さで伝わり、その速さは可変で、密度の高い物体では遅くなると論じた。ヨハネス・ケプラーやルネ・デカルトは、光速は無限大だと考えていた。 ガリレオ・ガリレイは、遠く離れた2か所に置いたランプの合図を用いて光速度を測定する方法を提案した。しかし、光速はあまりに速く、当時のいかなる計測器でもこの様な方法でわずかな時間を正確に測る事ができなかったために有意な結果を得られなかった。 1676年にデンマークの数学者オーレ・レーマーは木星の衛星イオが木星に隠れる周期の変化と木星までの距離から光速を計算した。当時既に地球と木星の位置関係、ならびにイオが木星の陰に隠れる(隠蔽)周期は正確にわかっていた。レーマーは、地球が木星から遠い位置にある時に、イオが隠れる時刻を調べ、光の速度が無限大ならば常に42.5時間置きに隠蔽が観測されるはずとして「観測予定時刻」を計算した。そして地球が公転軌道上で木星に近づいた位置に移動した5ヵ月後に再度イオが隠れる時刻を調べると、「観測予定時刻」よりも早くなっている事を確認した。この結果からレーマーは、光は地球軌道の直径を横切るのに22分かかると結論した。ジョヴァンニ・カッシーニの観測より得られた地球-太陽間距離を用いると、レーマーの得た光速は約21.3万 km/s となる。これは実際の光速より3割ほど遅い数字だったが、光の速さが有限であることを証明し、その具体的な速さを初めて与えた。レーマーの友人アイザック・ニュートンもこれを認め、この光速の値を著書に記した。 1729年にジェームズ・ブラッドリーは季節による星の光行差から光速を求めた。彼の測定値は301000 km/sであった。 1849年、アルマン・フィゾーは、天体現象を利用せずに、回転する歯車を使って、初めて地上の実験で光速を測定した。ランプの光をビームスプリッターで直角に曲げ、筒の中で720枚の歯がついた歯車を通過させて光を等間隔に分断して放ち、約8.6 km離れた反射鏡で折り返し、筒の中で同じ歯車を通して観察した。歯車の回転が遅いうちは、凹部を通った光は反射され同じ凹部から見える。しかし回転数を上げると、やがて反射光が凸部(歯の部分)で遮られるようになる。フィゾーは、この時の12.6回転/秒から、(8.6 km)×2 = 17.2 kmを光が進む時間は(1秒)/(12.6回転/秒)/(720×2)(歯車の凸部と凹部の間の個数 = 歯の数の2倍)= 0.000055 sと計算した。これらから光速は約31.3万 km/sという値を得た。 1850年にフーコーは回転ミラーを使った光速の測定を行い、水中で光速が遅くなることを実証した。真空中の光速は1862年に298000±500 km/sという値を得ている。 1873年からマイケルソンはフーコーの方法を改良して光速の測定を続けた。1926年の測定値は299796±4 km/sである。 その後マイクロ波を使う方法、レーザーの使用などにより測定の精度が高まった。 1983年には、国際度量衡総会により、メートルを光速によって定義することとなった。これにより、真空中の光速が299792458 m/sと定義されたことになる。
※この「光速度の測定」の解説は、「光速」の解説の一部です。
「光速度の測定」を含む「光速」の記事については、「光速」の概要を参照ください。
- 光速度の測定のページへのリンク