人口増加の抑制による過剰人口の解消
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 23:38 UTC 版)
「地球温暖化への対策」の記事における「人口増加の抑制による過剰人口の解消」の解説
エネルギー効率などを上げるとともに、エネルギーの消費量を増やすことにつながる人口の過剰(人口問題)に対しても、対策を考えるべきだという指摘がある。 小学校への就学率と出生率(2000-2010)上位下位各10位順位国名就学率出生率1 日本 100.0 1.3 2 スペイン 99.8 1.5 3 イラン 99.7 1.8 4 ジョージア 99.6 1.6 5 イギリス 99.6 1.9 6 カナダ 99.5 1.6 7 スリランカ 99.5 2.3 8 ニュージーランド 99.5 2.2 9 ギリシャ 99.4 1.5 10 キューバ 99.3 1.5 ・ ・ ・ ・ 176 ナイジェリア 61.4 5.7 177 チャド共和国 61.0 6.2 178 コンゴ 58.9 4.4 179 コートジボワール 57.2 4.6 180 ニジェール 54.0 7.1 181 赤道ギニア 53.5 5.3 182 ギニア・ビサウ 52.1 5.7 183 ジブチ 40.1 3.9 184 スーダン 39.2 4.2 185 エリトリア 35.7 4.6 発展途上国でも人口が増え、世界人口が過剰になっている、それにより環境に悪影響を与えることは多くの国で認識されているが、温暖化対策会議などにおいて、人口抑制の効果についてはほとんど話し合われていない。出生率を下げ、過剰人口による温室効果ガスを削減しつつ、人権を守るという考えがある。少女と若い女性に教育(女子教育)の機会を与え教育状況を改善し、男女平等に働く機会を与えることで、人口増加が抑制され自然に人口は減少すると考えられる。 人口転換 (demographic transition) 理論と呼ばれる、人口変動のパターンがある。人口動態の変化は、経済状態により、多産多死から多産少死を経て、やがて少産少死に至るという3段階に分けることができる。 第1段階 多産多死。伝統社会で農耕など多くのマンパワーを必要とし出生率が高いが、飢餓や疫病、戦争などで多くの人が死ぬ。 第2段階 多産少死。経済の発展により、生活の質、医療の向上で死亡率は低下するが、出生率は依然として高い。 第3段階 少産少死。さらなる経済発展により死亡率は低下、一方で出生率も低下する。出生率低下の要因は、子供の養育コストの増大や女性の自立化などが考えられる。 学習機会の少なかった層に教育機会を与えることで、社会進出を促し、国の経済を発展させ出生率・死亡率を低下させることで、人口増加を抑制することができると考えられる。 一方、人口抑制、削減への批判も上がっている。教育機会を与え人口を減らすという考えは、先進国で人口が減少していることを根拠に、発展途上国でも先進国と同じような状態を作ろうという考えである。つまり発展途上国を対象にした考え方であり、先進国が途上国の人口を抑制しようという政治的で危険な考え方である。この考えは温暖化対策のために、科学を根拠に発展途上国に対する人種差別的な行動を正当化する恐れもある。 ジョンズ・ホプキンズ大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院のアービンド・ラビクマール助教授は、「先進国の多くの白人が、人口を減らすべきだと言っているのは、『帝国主義の枠組み』という言葉を定義するものだ(A bunch of white people in the developed world saying population should be reduced is the definition of an imperialist framing.)」 と批判している。 人口が減ったとしても温暖化への影響は限定的だと考えられ、人口に関わらず、すべての元凶である温室効果ガスを止めなくてはならない。また、すでに多くの発展途上国ではGDPが上昇してきており、成長の初期段階で出生率が低下するのはGDPの上昇に混乱をもたらし、GDP成長を低下させ、逆に人口減少を妨げてしまう可能性があるとの考えもある。
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