人の自己免疫疾患などとの関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:05 UTC 版)
「ヨーネ病」の記事における「人の自己免疫疾患などとの関連」の解説
クローン病 ヨーネ菌と人のクローン病との関係は、ヨーネ病とクローン病の強い類似性から、MAPがクローン病の病因である可能性があると長い間医師や研究者のなかで疑いを持たれてきた。1913年、スコットランドの外科医であるトーマス・ケネディ・ダルジールは、彼の患者の病気の臨床的および肉眼的外観は、ヨーネ病の牛で報告されたものと非常に類似していると述べた。ダルジールはヨーネ病の原因菌であるヨーネ菌を仮定した最初の科学者であると考えられている。1932年に公式の医療機関として最初の論文報告がクローン医師(1884~1983年)らによりなされた、「クローン病は牛のヨーネ病によく似ており、ヨーネ菌によって起こっているのだろう」と明記された論文である。 ヒトのクローン病は厚生労働省指定の特定難病疾患である。患者数は30年ほどのあいだに約250倍に増加している。アメリカの患者数は日本の10倍である。2020年に多国籍研究機関が協力してまとめた炎症性腸疾患(IBD)の国際的発生状況がThe Lanset Gastroenerology & Hepatology誌に報告され、CDを含むIBDの国際的発生増加が指摘された。CDとUCの有病率が最も高いのは北アメリカ、北ヨーロッパ、およびイギリスであるが、南ヨーロッパ、アジア、アフリカ、ラテンアメリカで増加し始めていることが指摘されている。 小児期発症炎症性腸疾患 10代、幼児、さらにゼロ歳児での発症も報告されるようになってきた。近年、生まれて数週間の乳幼児が下痢症状を起こすケースが増えているということも世界的に小児科医のあいだで問題になっている(小児期発症炎症性腸疾患)。子どもの場合、小児炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれている。ヨーネ菌の人体への暴露が乳製品によることが知られていることから、粉ミルク摂取頻度の高い乳幼児における本病とヨーネ菌の関連線研究が指摘されている。 多発性硬化症 中枢性脱髄疾患の一つで、神経のミエリン鞘が破壊され脳、脊髄、視神経などに病変が起こり、多様な神経症状が再発と寛解を繰り返す疾患で、日本では特定疾患に認定されている。この神経難病とヨーネ菌との関連を2011年に始めて報告したのはイタリアサルジニアのササリー大学のSechi教授らのグループである。日本では順天堂大学脳神経内科のグループがヨーネ菌と多発性硬化症の関連について、特に食品に存在するヨーネ菌死菌の経口摂取との関連を含め先進的な成果を上げている。日本の多発性硬化症患者の血清や脳脊髄液中にヨーネ菌に対する特異抗体が検出されている。 1型糖尿病 自己免疫病の一種である1型糖尿病とヨーネ菌の関連も報告されている。
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