主兵装・戦法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 14:13 UTC 版)
「無人砲艦ヴァルキリー」の記事における「主兵装・戦法」の解説
ヴァルキリーが備える唯一の武装にして主砲は、収束性に優れた大出力レーザー砲である。しかし、ヴァルキリーの圧倒的攻撃力の源泉はレーザー砲よりは、むしろそれを管制する超長距離射撃管制システムである。第一次外惑星動乱当時、通常の艦艇が備えるセンサでは、レーザー砲の照準が可能な限界は1,000km程度とされていた。また、当時の宇宙空間戦闘は、基本的に捜索レーダーによって発見した敵に対して、機動爆雷と称される誘導ミサイルを発射し、破片の弾幕に相手を捉えて撃破するというものであったため、レーザーはほとんど用いられていなかった。これに対しヴァルキリーは10,000kmを遙かに超える長距離からのレーザー射撃が可能であるため、完全なアウトレンジ攻撃が行える。この長射程を可能にしているのは、クローズドループ制御を含む管制システムである。 ヴァルキリーによる長距離砲撃の場合、まず攻撃力のない1マイクロ秒の短時間照射を精密な射角制御の元に10マイクロ秒ごとに繰り返し、120点射単位ごとに赤外線による観測を行う。目標の存在予測領域をカバーするように行われた斉射に命中弾があれば、彼我の距離と観測時刻からどの点射単位が命中したかが判明するので、その命中弾を放った方向を中心にさらに斉射を行う。多数の命中弾を得て目標の正確な位置と速度を把握したら、全力照射を行って目標を破壊する。 この射撃管制方式は、20世紀の戦艦「ドレッドノート」の砲術にいくらか似通ったところがある。作中の登場人物による解説では、ドレッドノートや以後の「大和」など超弩級戦艦では、長距離射撃の管制のために同一口径の多数の主砲による斉射を行い、観測を行って射角を調整することで命中弾を得ていた、ということを挙げている。煙幕などの光学的妨害に弱いという弱点も共通している。ただし、あくまでもいくらかの類似であって、火器管制システムとして全くの相似というわけではない。水上艦の戦闘ではそうやって砲撃パラメータを調整し続け、最後に命中弾が発生することを期待している。一方、ヴァルキリーの砲術は、最初の点射の時点で既に命中弾の有無、すなわち戦果の確認を行っている。 戦闘や航法などのサブシステムを統括制御するヴァルキリーの制御中枢は、戦闘において高度で柔軟な判断を高速で下すことのできる戦術級指令システムである。作戦の目的として与えられた条件とその優先順位に応じて、刻々と状況を判断し適切な行動を選択することができる。しかしあくまで戦術級システムであるため、自らの戦略的価値を理解してそれを考慮して行動を選択することまではできない。
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