三重県下の電気事業創業
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合同電気、旧称三重合同電気は、社名が示すように三重県の電力会社が合同して発足した企業である。1922年(大正11年)5月の会社設立時、合同に参加したのは津電灯株式会社・松阪電気株式会社・伊勢電気鉄道株式会社の3社であった。 三重県にて電気の供給が開始されたのは、中部地方最初の電気事業者名古屋電灯が1889年(明治22年)に開業してから8年が経過した1897年(明治30年)のことである。まず県庁所在地の津市にて、4月から津電灯(初代)の手により開始された。次いで8月に度会郡宇治山田町(宇治山田市を経て現・伊勢市)でも宮川電気(1902年伊勢電気鉄道へ改称)が開業し供給が始まる。津電灯は地元の川喜田四郎兵衛らにより、宮川電気は大阪の実業家や地元の太田小三郎らによって、いずれも前年の1896年(明治29年)に設立されていた。さらに1897年9月、県内3番目の電気事業者として四日市市にて四日市電灯(後の北勢電気)が開業している。 1904年(明治37年)2月、阿山郡上野町(上野市を経て現・伊賀市)の田中善助により水力発電所が建設され、上野町にて電気の供給が始まる(翌年法人化され巌倉水電が発足)。次いで田中は名張川支流の青蓮寺川に水力発電所を設置するべく三重共同電気を設立、火力発電を電源としていた津電灯に対し1910年(明治43年)より電力の供給を開始する。この三重共同電気は開業後間もなく津電灯を吸収し、翌1911年(明治44年)に津電灯(2代目)に改称した。また飯南郡松阪町(現・松阪市)では、1903年(明治36年)に、実業家の才賀藤吉や地元の安保庸三らによって松阪水力電気(1921年松阪電気に改称)が発足。櫛田川に水力発電所を設置し、1906年10月より供給を開始した。 松阪電気以降も三重県内では相次いで電気事業者が開業し、1921年度時点では計12事業者を数えたが、この中で1万灯以上の電灯を供給するのは上記5社、津電灯・伊勢電気鉄道・北勢電気・巌倉水電・松阪電気だけであった。1921年(大正10年)6月時点の5社の概要と、1921年度の供給実績を下表に示す。 事業者名事業開始年月資本金社長供給区域電灯供給電力供給備考津電灯1897年4月 200万円 川喜田久太夫 津市、安濃郡14町村、河芸郡7町村、一志郡20町村、名賀郡16町村、志摩郡1村 67,379灯 564.9kW ガス事業兼営 伊勢電気鉄道1897年6月 400万円 太田光熈 宇治山田市、度会郡11町村、志摩郡5町村 36,627灯 266.7kW 軌道・バス事業兼営 北勢電気1897年7月 500万円 九鬼紋七 四日市市、三重郡29町村、河芸郡15町村、桑名郡16町村、鈴鹿郡18町村、安濃郡1村、員弁郡16村、一志郡9村 114,135灯 1,671.3kW ガス事業兼営 巌倉水電1904年2月 60万円 田中善助 阿山郡18町村、名賀郡3村 24,058灯 130.4kW 松阪電気1906年10月 200万円 安保庸三 飯南郡全町村、多気郡15町村、一志郡8村、度会郡22町村、志摩郡15村 48,232灯 278.3kW
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