一般的な営業形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 18:43 UTC 版)
一般的に映画館運営会社(興行会社)などによって運営され、顧客にチケットを買ってもらい入場させ映画を見せ、会社はそのチケットの売り上げによって利益を得るという形をとる。 他方、上映用フィルムの配給元となった配給会社に対し、定額ないしチケット売り上げ額に対する一定割合(映画によって変動あり)の額を、「フィルム貸し料」として支払う。これが映画館の経費の多くを占める。 日本では、厚生労働省が監督官庁であり、直接的には所在する都道府県又は市が設置している保健所の監督を受ける。また、都道府県ごとに、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づく興行生活衛生同業組合(これには、映画館以外に演芸場や貸しホール等も加盟している)を組織している。なお、この組合はあくまで任意加盟である。例えば、シネマコンプレックス(シネコン)がオープンする際に、地元の既存映画館と対立するケースもあり、その結果、そのシネコンは組合に未加盟のままとなっている例もある。 映画館の設置にあたっては、興行場法に基づき都道府県知事の許可が必要となっている。また、建築基準法による用途規制により、映画館は客席の面積が200平方メートル以上10000平方メートル未満である場合には近隣商業地域、商業地域、準工業地域でのみ設置できる。200平方メートル未満であれば準住居地域でも設置できる。映画館の規模によっても違うが、一般的に劇場内部には1スクリーンあたりおよそ80~600席の座席が設置されている。1スクリーン当たりの平均的な客席数は、300席未満の映画館が多い。 映画を鑑賞するための入場券は前売り・ないし当日券という形で販売される。前売り券の場合は多少の割引や、非売品の記念品が付属するなどの特典が付くことが多い。金券ショップに持ち込まれたものを購入することも出来るが、トラブルが皆無という訳ではないので、そのような店での入場券の購入の際には注意が必要である。また、夜間上映などの時間帯・ないし学生割引・レディースデー・『映画の日』(本来の記念日としては12月1日だが、現在では多くの都道府県において毎月初頭1日に「映画サービスデー」として拡大されている)・シニア割引など、様々な割引制度が実施されている(詳細については、映画料金割引の項を参照)。身体障害者手帳、療育手帳(知的障害者向け障害者手帳)、精神障害者保健福祉手帳(手帳表紙には「障害者手帳」と書かれている)を持っている障害者は窓口に当該手帳を提出すると、映画館によっては当該障害者及び同伴の介護者の入場料金を割引く。 映画館の受付ロビーには、上映中の作品や次回上映予定の作品のポスター・上映日程・時間帯などが示されている。これらや新聞広告・TVCMなどの情報を元に、観客は自分が鑑賞したい作品のスケジュールを知り、後日に映画館に足を運ぶ段取りとなる。また、映画館によっては、上映作品の販売状況などが、空席があるのか満席かなどが受付の電光掲示板ないしインターネットのウェブサイトなどで確認出来る場合がある。 日本の映画人口が減少期に入った1960年代後半以降、多くの映画館では流し込み制(一度入場すれば、途中退出しない限り、最終回の上映終了まで、何度でも鑑賞可能)を採用してきた。しかし、近年主流となっているシネコンやミニシアターでは入れ替え制を採用しており、チケットに指定された回の上映が終わった後は、観客は速やかに劇場から退場しなくてはならない。 いずれの方式においても、入口を出た後の再入場は基本的に許可されていない(流し込み制であれば、改めて入場料が必要)が、トイレや自動販売機・売店などが館内に設置されていない等の事情により、入場時の半券を提示することで、その半券記載の上映時間内であれば許可するシステムをとる館もある。 客席外通路などでパンフレットが、ときに関連グッズも販売されることもある。 封切初日などには、出演者や監督などが舞台上に立ち、観客に対して「舞台挨拶」をおこなうこともある。 シネコン、ミニシアター共に午前中のみの上映(モーニングショー)や夜間上映(レイトショー)などで公開作品数を増やす試みが浸透している。
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