フランス語の接続法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 02:00 UTC 版)
フランス語の接続法は、感情、願望、疑念、義務、命令、目的、譲歩、最上級等の表現に現れる文法的拘束事項として理解できる。直説法が客観的事実を述べる法であるのに対して、接続法は「話し手の主観(イメージ)を表現する」と説明されることが多い。話し手が事実であると主張する場合は直説法が好まれ、事実に疑念・否定を抱く場合は接続法となる場合が多いが、下記 (1) 願望・命令や (9) 祈念など、現実化を強く願う場合にも接続法が登場する。 語形は、直説法現在三人称複数の語幹に、-e, -es, -e, -ions, -iez, -ent の語尾を続ける。一人称複数・二人称複数では語幹が異なる動詞もある。また、人称変化全体にわたって特殊な語幹を取る動詞も一部に存在する。 時制は上記の語形変化をする接続法現在の他に、avoirまたはêtreの接続法現在に過去分詞を続ける接続法過去がある。そのほか、単純過去と共通する語幹を取る接続法半過去とその複合時制である接続法大過去があるが、現代口語フランス語で用いることは少ない。 接続法の用法についてもう少し詳細に列挙する。 (1) 意志、願望、恐れ、疑惑、命令などを表す動詞の後 Nous craignons qu'il y ait beaucoup de victimes.(犠牲者が大勢出るのではないかと危惧している。) (2) 感情(主観)を表す être [形容詞] que の後 Je suis étonnée qu'un crocodile fasse des pompes.(鰐が腕立て伏せをしているなんて驚いた。) (3) 義務、判断、可能性、重要性、感情などを表す非人称構文の後 Il vaut mieux que vous partiez tout de suite.(直ぐに発つべきです。) (4) 意見の否定・疑問等(話し手に疑惑を持たせる場合) Elle ne croit pas qu'il vienne.(彼女は彼奴が来るなんて信じていないよ。) (5) 話し手が不確実性を示す場合 Je cherche une maison qui ait un grand jardin.(私は庭の広い家を探している。) (6) 目的、条件、譲歩等を表す接続詞句の後 Bien qu'il pleuve, ma fille veut sortir.(雨が降っているのに、娘は外出したがっている。) (7) 最上級またはそれに類する表現の後 Vous êtes la seule personne qui puisse m'aider.(貴方は私を助けられる唯一の御方です。) (8) 想定 Soit un triangle ABC.(三角形ABCを考える。) (9) 祈念 Que la force soit avec toi.(フォースの共にあらんことを。) (10) 頻度 Il est rare que mon maître reçoive des visites féminines.(主人に女性のお客様がいらっしゃることは稀です。)
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