フランス国外への進出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 05:16 UTC 版)
隣接国への直通列車であるユーロスターやタリスのみならず、TGVをベースとした車両はスペイン・RenfeのAVE、韓国・KTX、アメリカ・AMTRAKのアセラ・エクスプレスなど、諸外国へも輸出している。ドイツとの連合で臨んだ中華民国(台湾)の台湾高速鉄道では日本の新幹線が採用されたほか、中華人民共和国でも新幹線方式が採用されたこともあるものの、官民一体となった売り込みの結果、京滬高速鉄道で車両の購入が行われた。 台湾高速鉄道への売込みに際しては、ドイツ鉄道(DB)のICE 1の動力車とTGV Duplex編成のダブルデッカー客車を組み合わせたデモンストレーション編成「ユーロトレイン(Eurotrain)」を走行させた。これは、当初フランスが提案を検討していたDuplex10両編成やドイツ案のICE 1 14両編成をそのまま導入した場合、いずれも台湾に要求されていた一編成あたりの定員を確保できなかったためである。客車1両あたりの定員が最も多いのはTGV Duplex編成のダブルデッカー客車だが、これを単純に増結すると当時のTGV用動力車では出力不足となり対応できなかったため、より出力の大きいICE 1用動力車とTGV用客車を組み合わせるという苦肉の策が採用された。 高速鉄道のみならず、鉄道全般に関して長年のライバルであるフランスとドイツが「ヨーロッパ連合」として手を組み、新幹線を売り込もうとする日本連合に対抗したことでも話題となったが、結果的には新幹線が採用された。新幹線が採用された経緯は多種の要因があるが、TGVに比較すると新幹線は高頻度での大量輸送を実現していること、台湾でも懸念される地震対策の日本国内での実績に加え、1998年6月3日にハンブルク近郊のエシェデ(Eschede)駅付近で発生したICE 1の事故が決定打となったと言われている(詳しくは「エシェデ鉄道事故」を参照)が、実際は1999年9月21日に発生した台湾大地震の発生が最大の要因である。 2007年10月22日にモロッコ・フランス両政府がTGV(アラビア語表記は تي جي في)の技術を用いたアフリカ諸国では初の高速鉄道の導入を発表した。モロッコ国民の鉄道事情への不満に応えたものであるとされている。アルストム社から12本のTGV Euro Duplex編成が導入された。将来的には、マラケシュへの延伸を含め増大する旅客輸送量に対処するため総延長1,500kmの路線網を2030年頃までに整備する構想もされている。まず2013年までに、タンジェ - ケニトラ間の200kmが整備され、最高速度320km/hの運転が計画されている。合わせて、新しい機関車の導入やスピードアップなどモロッコの鉄道近代化も実施される。 2018年11月、アフリカ初の高速鉄道としてタンジェ - カサブランカ間が開業。同月15日にタンジェ駅で開業式典が開催され、ムハンマド6世モロッコ国王臨席の下、フランスのマクロン大統領も出席した。一般営業運転は11月26日からで、初日を含め3日間は無料扱いとなり、3万人余りが乗車したという。所要時間は従来の4時間45分から半分以下の2時間10分と大幅に短縮された。車内放送やモニターの案内はアラビア語とフランス語のみ。カフェカーは2階部分にあり、イスラム国家のためアルコール類の販売は行っていない。 アルゼンチンで計画されているブエノスアイレス - ロサリオ間の高速鉄道整備計画でもTGVをベースとした高速鉄道を導入する構想が存在したが、これは計画自体が消滅した
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