ビタミンA欠乏症
ビタミンAは視覚の重要な機能物質といえる。また、細胞分化、細胞膜の安定に必須の物質で、感染防御、創傷治癒転機、骨・歯の発育、成長発育に関わっている。
ビタミンAの欠乏は夜盲症を招き、さらに眼球乾燥症から角膜軟化症へと進行し、最悪の場合は失明する。また、麻疹や下痢などの一般的な感染症で死に至る可能性が25%も高くなるとも言われる。
ビタミンA欠乏症はアフリカや東南アジアを中心に途上国では公衆衛生的問題とされる。発症リスクが高いのは途上国の乳幼児と妊婦である。特に、新生児の肝臓にはビタミンAの貯蔵が少なく、母乳などによる補充が必要であるが、途上国の女性では母乳中ビタミンAが少なく完全母乳でもビタミンA欠乏症が起こることがある。2000年のデータでは1億4000万人の未就学児と700万人の妊娠期女性がビタミンA欠乏状態にある。出産に関連した原因で死亡する妊産婦死亡の大部分は、ビタミンAを含む母体の栄養状態改善によって改善が可能である。
ビタミンA欠乏症の予防のため多くの途上国では拡大予防接種計画(EPI)の一部として生後9ヶ月に接種される麻疹のワクチンと一緒にビタミンAの補給(Supplementation)が行われている。途上国の6〜59ヶ月齢児の59%がビタミンAの補給をうけていると推定されている。(石川みどり)
参考
World Health Organization: Vitamin A Deficiency,
http://www.who.int/nutrition/publications/vitamin_..., Geneva,2008
ビタミンA欠乏症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/30 17:11 UTC 版)
ビタミンA欠乏症 | |||
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別称 | ビタミン欠乏症A | ||
1995年のビタミンA欠乏症の状態
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概要 | |||
診療科 | 小児科、眼科 | ||
症状 | 夜盲症、ドライアイ、角膜潰瘍[1][2] | ||
原因 | 食事からのビタミンA不足[2] | ||
危険因子 | 高頻度の感染症、炎症性腸疾患、肥満手術[1][3] | ||
診断法 | 血中レチノール < 0.7 μmol/L (20 μg/dL)[1] | ||
鑑別 | 網膜色素変性症、白内障、近視[3] | ||
合併症 | 失明[2] | ||
治療 | ビタミンAの補給[3] | ||
頻度 | 開発途上国: 一般的[1] 先進国: まれ[1] | ||
分類および外部参照情報 | |||
Patient UK | [1] |
ビタミンA欠乏症(英: Vitamin A deficiency、VAD)は、ビタミンAが不足している状態である[2]。最初にみられる症状には、夜盲症があげられる[1]。さらに重症化すると眼球乾燥症、角膜潰瘍、失明などをおこす[2]。また、麻疹や毛孔性角化症などの重度の感染症をおこす危険性が増加する[2]。
一般的な原因は、動物性食品、果物、野菜などの食生活のうえでビタミンAが不足していることでおこる[2]。危険因子には、下痢、炎症性腸疾患、肥満手術の術後などの高頻度の感染症などがあげられる[1][3]。ビタミンAには2つの食物形態があり、それらは、レチノールとカロテノイドである[2]。診断は、血中レチノール濃度が0.7 μmol/L(20 μg/dL)未満に基づき、0.35 μmol/L(10 μg/dL)未満の場合は重度のビタミンA欠乏症とされる[1]。
初期治療は、1日1回200,000国際単位(IU)のビタミンAの投与を2日間おこなう[2]。毎2週間ごとに追加の投与する場合がある[3]。2020年には、生後6か月から5歳までの危険にさらされている子供の約40%に2回のビタミンAが投与され、死亡リスクを12~24%下げた[4]。
ビタミンA欠乏症は、開発途上国では一般的であり、特にアフリカと東南アジアにみられるが、先進国ではまれな疾患である[1]。約1億9000万人の5歳未満の子供と1900万人の妊娠中の女性が影響を受けていると推定されている[2]。結果的に、毎年約250,000~500,000人の開発途上国の子供が失明していおり、ビタミンA欠乏症は予防可能な小児失明の最も多い原因となっている[2]。失明した人の約半分は1年以内に死亡に至る[2]。特に妊娠後期によくみられ、母子共に悪い結果をもたらす[2]。
出典
- ^ a b c d e f g h i “Vitamin A deficiency” (英語). www.who.int. 2021年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “Vitamin A”. Micronutrient Information Center, Linus Pauling Institute, Oregon State University, Corvallis (2015年1月). 2021年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月1日閲覧。
- ^ a b c d e “Vitamin A Deficiency”. StatPearls. StatPearls Publishing (2022年). 2021年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月8日閲覧。
- ^ “Vitamin A Deficiency and Supplementation UNICEF Data”. 2016年9月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月7日閲覧。
ビタミンA欠乏症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 02:42 UTC 版)
症状夜盲症 皮膚・粘膜などの乾燥化:眼球乾燥症、ビトー斑、視力低下、失明、毛包周囲の角化、角膜軟化症、などなど 原発性ビタミンA欠乏症:通常は長期の摂食不足によって発症。南アジア、東アジアなどのカロテンを欠いた米を主食とする地域特有のものである。 続発性ビタミンA欠乏症: 治療:欠乏ビタミンを3000 - 10000IU/日内服
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ビタミンA欠乏症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 01:18 UTC 版)
「ゴールデンライス」の記事における「ビタミンA欠乏症」の解説
詳細は「ビタミンA欠乏症」を参照 ゴールデンライスの研究は、ビタミンA欠乏症(VAD)に苦しむ子供を助けることを目標にしている。2005年時点では、122の国で1億9000万人の子供と1900万人の妊婦がVADの影響を受けていると推計される。毎年、VADによって100–200万人が死亡しており、不可逆的な失明は50万症例、眼球乾燥症(英語版)は数百万症例発生している。子供と妊婦は高リスクである。食事中のビタミンAが不足している地域では、ビタミンAは経口投与または注射による補給が行われている。 1999年時点で、43の国で5歳未満の子供へのビタミン補給プログラムが行われている。そのうちの10の国では年に2度の高用量投与が行われており、UNICEFによるとこれによってVADを効果的に根絶することができる。しかし、UNICEFや補給に関係している多数のNGOは、低用量投与を高頻度で行うほうが望ましいと言及している。 VADの影響を受けている国では多くの子供が主食としてコメに依存しているため、コメでビタミンA前駆体のβ-カロテンが産生されるよう遺伝子組み換えを行うことは、現行のビタミン補給プログラムや緑黄色野菜や動物製品の消費を増やすといった方法よりも単純で低コストな手法となると思われる。ゴールデンライスの栄養価の初期分析からは、ゴールデンライスの消費はVADの問題を解消はしないものの、他の補給法の補完となりうることが示唆された。ゴールデンライス2には十分な量のプロビタミンAが含まれており、1日当たり約 75 gという必要量を満たすことができる。 カロテンは疎水的であるため、VADの緩和にはゴールデンライス(や他のビタミンAサプリメント)を用いた食事に十分な油脂が存在しなければならない。また、通常VADはバランスの悪い食事を伴っている。そのため、ゴールデンライスへの置き換えはVADの解決策としては不十分であるという主張が存在する。一方でこれらの主張はゴールデンライスの初期品種に関してのものであり、最新版では1杯で健康な子供の栄養所要量の60%を摂取することができる。先進国で設定されている栄養所要量は失明を防ぐのに必要な量よりもかなり過剰な量である。
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「ビタミン A 欠乏症」の例文・使い方・用例・文例
- 我々の食物はビタミンが足りない
- ビタミン強化米
- ビタミンD強化牛乳
- ビタミンの少ない食物
- ビタミンA
- ビタミン不足で
- 果物や野菜には私たちが必要なビタミンがたくさん含まれている
- XをビタミンAとビタミンEが防ぎます
- さらにビタミンCの効果がアップします
- ビタミンCが肌の新陳代謝を促します
- 牛乳やじゃこのビタミンDがカルシウムの吸収を助けます
- 1粒にレモン1個分のビタミンCと、13種類のハーブエキスを配合しました
- 特に緑黄色野菜には各種ビタミンが豊富だ
- 良質タンパク質とビタミンCをしっかり摂取しましょう
- 1年中食べますが、夏は夏バテ防止になります。うなぎにはビタミンとタンパク質とが豊富に含まれています。
- 500マイクログラムのビタミンA
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