デジタルハイスピードカメラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 02:42 UTC 版)
「ハイスピードカメラ」の記事における「デジタルハイスピードカメラ」の解説
デジタルハイスピードカメラの構成要素はビデオカメラと大差ないが、大別すると一体型と分離型が存在する。一体型はカメラのボディー内に記録用メモリーや処理系の回路を内蔵し、筐体としては1つのハードで構成される。分離型はセンサーとその周辺回路以外の機能を持たない小さなカメラヘッドと、専用のカメラケーブルで結ばれたメモリや処理系の回路を内蔵した本体部分で構成される。こうした外観の違いは使用される環境や目的を考慮した結果である。また、撮影後の画像データを保存する必要がある場合はさらにパソコンが必要になる。パソコンとの接続にはUSB、IEEE 1394、ファイバーチャネル、イーサネットなどさまざまな形式があるが、どの接続方式を採用するかはメーカーの考えに依存している。また、一部の分離型ハイスピードカメラの中には本体部分に専用のボディーを使用せず、直接パソコンにカメラを接続して使用する製品もある。 デジタル式の場合、撮影後すぐに映像を再生できるため、映像の評価をその場で簡単に行える。また、繰り返し撮影を行う場合は再度録画ボタンを押すだけで良いため、手軽に繰り返し撮影が行えるうえに消耗品も発生しないという特徴がある。この他、メモリ式カメラの最大の特徴としては、エンドレスループレコーディング機能が挙げられる。ビデオテープやフィルムを記録媒体に用いた場合は物理的に記録時間に限りがあるが、デジタルメモリーはその容量に応じた絶対記録時間内であれば、上書きを繰り返しエンドレス記録(リングバッファー)が行える。ただし、この場合は上書きされた映像が消えてしまう。 ハイスピードカメラに使用されるセンサーの多くはCMOSイメージセンサであり、CCDイメージセンサを使用したカメラは少ない。ハイスピードカメラに求められる最大の機能は、当然ながら高速で映像を撮影できることであるため、高速で電荷を読み出せるCMOSの特徴がマッチするためである。ただし、CMOSはCCDに比べて感度やノイズの点で不利な場合が多く、こうした問題点をいかに解決するかがセンサー開発の鍵となる。 通常のデジタルビデオカメラとは全く異なる方式でハイスピード撮影する物もある。撮影するコマ数と同じだけ光を分岐し、同一の映像を複数のセンサーに結像させる方式である。この方式では最高10億コマ/秒の撮影が可能であるが、撮影出来る長さはセンサの数までである(NAC社のULTRANAC Tau)。 最近では高画質・高感度なCMOSセンサーが開発され始め、少しずつハイスピードカメラに採用されるケースが増えつつある。しかし、こうしたハイスピードカメラに使用できるセンサーが手軽に入手できるようになったことから、ハイスピードカメラのメーカーが乱立しており、ユーザーの立場から見れば使用する場合に選択の幅が広がったとの利点もある代わりに、機能や性能・特徴を表示したカタログやWEB上での表現が分かりづらいため、目的とする機能・性能を得られない製品を誤って選択してしまうケースがあるので、注意が必要。現在ではカシオ・エクシリム Pro EX-F1のように、デジタルカメラにも1200fpsの高速度撮影の機能を備えた機種がある。
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