テレビアニメ版の制作
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「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」の記事における「テレビアニメ版の制作」の解説
テレビアニメ化の企画はリメイク版の発売と同時期の2017年春に立ち上がったが、連続2クールでのアニメ化を引き受ける制作会社を探すのに時間がかかった結果、リメイク版の発売からテレビアニメ版の放送開始までに間が空いた。 連続2クールで放送することを必須条件とした理由について、浅田は「『YU-NO』はルートが複雑に分岐しているので、各話の放送が1週間空くだけで分かりにくくなるんですよ。(中略)もし分割2クールにして、間が3か月も空いてしまうと、ストーリーのつながりが分からなくなってしまいます。」と説明している。 テレビアニメ版の監督に起用された平川は、セガサターン版を遊んだことがあるほか、業界内における本作の影響の大きさを理解しており、監督に起用された際は荷が重いと感じていたと4Gamer.netとのインタビューの中で振り返っている。 浅田はゲームとアニメでは表現できることが異なるという考えから、オリジナル版のストーリーから大きくそれないようにという要望を出す以外は、アニメ制作会社のやりたいようにさせていた。テレビアニメ版の時代設定はリメイク版と同じく、オリジナル版が発売された1996年ごろであり、背景や小道具、会話内で使われる単語などについても細心の注意が払われた。また、結城がたくやを「オヤビン」と呼ぶ場面について、「現在(2019年)の視聴者に通じるのか?」と疑問に思った脚本家が浅田に問い合わせることがあったが、オリジナル版のシナリオにも存在する言い回しだったため、そのまま通った。平川も「オヤビン」という呼称について、「僕は逆に『キャラが立ってるな』と思いましたけどね。今はこんな言い方をする人はいないなと。やっぱり「オヤビン」でよかったと思います。」と4Gamer.netとのインタビューの中で振り返っている。 オリジナル版はテキスト量が多く、下手をすればプロローグまでしかアニメ化できない可能性があり、放送の時期や方式が決まっていない段階から、プロローグの放送方法について話し合いが重ねられた。その結果、プロローグの内容を第1話に収め、第2話以降はテンポを落として放送することが決まった。第1話の絵コンテを見た浅田は、あまりの詰め込みように心配していたものの、実際の映像を見て納得したと4Gamer.netとのインタビューの中で振り返っている。 平川は、特定の時間軸に戻ることを可能としたA.D.M.Sシステムの表現に苦労した末、視聴者がこれまでの物語の流れを覚えているという前提で物語を展開する方法をとった。また、シリーズ構成にあたり、ゲーム内のイベントをできるだけすべて映像化するというコンセプトが立てられていたため、各ルートをつなげるためのアニメのオリジナルイベントをいかにして入れていくかにも苦労したと平川はインタビューの中で振り返っている。このほかにも、たくやが異世界に行く動機を明確にするため、最終的には神奈ルートを現代編の終盤に持っていき、「異世界にしかにない超念石を持ち帰って神奈を救う」という動機がつけられた。 テレビアニメにおいては、現実世界とは異なる異世界での生活や街並みについて細かな描写が要求されるものの、オリジナル版の異世界編ではこれらに関する描写が少なく、原作者の剣乃も亡くなっているため、異世界編のキャラクターを最初から登場させる方針がとられ、オリジナル版では脇役だったサラの出番が追加された。
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