ツアーバス拡大に対する国土交通省の対応
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「ツアーバス」の記事における「ツアーバス拡大に対する国土交通省の対応」の解説
2005年7月28日、国土交通省自動車交通局は「ツアーバスに関する当面の対応方針について」と題した通知文書(自動車交通局旅客課新輸送サービス対策室長・同課旅客運送適正化推進室長から各地方運輸局旅客第一課長等あて事務連絡) を示した。この通達では、「旅行業者が募集型企画旅行(改正前旅行業法では主催旅行と定義)で行う、観光やスキーといった移動以外の目的を伴わない、2地点間の移動のみを主たる目的とした「ツアーバス」が、一般乗合旅客自動車運送事業類似行為ではないかとの疑義」に対して、「2地点間の移動を目的とした募集型企画旅行であっても、正規の貸切契約に基づく運行については、旅行会社に対して道路運送法上の責任は問えない」との指針を示した。一方で、「旅客数に応じた運賃収受の場合は、乗合運送の無許可営業が考えられる」「事業運営の適正化が望ましいと判断される場合は、乗合許可申請を指導する」として、乗合運送の類似行為に一定の歯止めをかける方向性も示された。 2006年5月の道路運送法改正では、第一条に「道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進する」という文言が書き加えられた。さらに2006年6月30日付の通達「ツアーバスに関する取扱いについて」 では「運送の発地又は着地のいずれかが営業区域内に存在し、運送契約等が確認できれば経由地における旅客の取扱いは道路運送法上問題がない」との指針が示され、ツアーバスの運用の弾力化が図られることになった。 これにより、ツアーバスの業態が法的に事実上認知されたような受け止め方をされたという指摘もある。これ以降、旅行会社の主催によるツアーバス催行は急速に増加し、2006年時点でツアーバスを催行する旅行業者はすでに約30社に上っていた。 しかしながらその一方で、特に貸切バス事業者へのしわ寄せの面で問題が顕在化するようになったことから、国土交通省は2006年6月30日付の通達「『ツアーバス』に関する募集型企画旅行の適正化について」(平成18年6月30日国総旅振第101号、総合政策局旅行振興課長から(社)日本旅行業協会・(社)全国旅行業協会等あて通知) を発出。旅行業者に対し、道路運送法・労働基準法・道路交通法等の関係法令への違反行為の教唆、幇助となる可能性がある貸切バス事業者への強要行為を行わないよう指導するとともに、乗合バスの手配旅行と誤認させるような広告の禁止、旅行契約の締結の際に旅行条件の説明を行うこと、乗車券の代わりとなる契約書書面等の交付(または代替措置)を行うこと、旅行代金の収受を貸切バス乗務員ではなく旅行業者等の外務員資格保有者が行うことなどの指導を行った。 しかし、2007年2月28日にあずみ野観光バスのスキーツアーバスで吹田スキーバス事故が発生、乗員・乗客が死傷した。事故原因が運転手の過労運転によるものとされたことから、貸切バス事業者に対して様々な指導が行われることとなった。 2008年には、任意団体「高速ツアーバス連絡協議会」が業界団体として設立された。しかし同団体の組織率は、企画催行会社(旅行代理店)が観光庁把握の52社中37社(71%)、運行受託会社(貸切バス事業者)が国土交通省把握の235社中38社(16%)にとどまった。
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