コールター原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 08:59 UTC 版)
「コールターカウンター」の記事における「コールター原理」の解説
コールター原理とは、以下のようなものである。 開口部を粒子が通り抜けると、同時に電流が発生し、インピーダンスが変化する、その変化は開口部を横切る粒子の体積に比例する。このインピーダンス変化のパルスは、粒子によって引き起こされる電解質の置換から生じる。コールター原理という名称は、その発明者であるWallace H. Coulterに由来している。この原理は医療産業、特に血液学で商業的成功を収めており、全血を構成する様々な細胞の数を数えたり、大きさごとに分けるのに応用できる。 導電性の低い粒子である細胞は、導電性細孔の有効断面積を変化させる。これらの粒子が周囲の液媒体よりも導電性が低いと、細孔を横切る時に電気抵抗が増加し、結果として流れる電流が一時的に減少する。このような電流変化のパルスを監視することによって、ある決まった体積の流体中の粒子数を数えることができる。電流変化の大きさは粒子の大きさに関連するので、粒子径分布を測定することができ、それは移動性、表面電荷、および粒子の濃度に相関し得る。 今日、コールターカウンターは病院での検査に無くてはならない装置となっている。その主な利用は、全血球算定(complete blood counts:CBCと呼ばれる)の迅速で正確な分析である。CBCは、体内の白血球と赤血球の数または割合を決定するために使用される。以前のやり方では、血球染色剤を準備し、光学顕微鏡下で各種類の血球を手作業で数えており、これには通常30分を要した。 コールターカウンターは、塗料、セラミック、ガラス、溶融金属、食品の製造など、様々な用途で利用されている。これらの分野では、例えば、原料の粒度分布が揃っているかの確認を行うために用いるなど、その品質管理のために日常的に使用されている。 コールターカウンターは、史上初のセルソーター(英語版)の開発において重要な役割を果たし、フローサイトメトリーの開発のごく初期から関係していた。今日でも、フローサイトメーターの中には、細胞の大きさや数に関して高精度の情報を提供するため、コールター原理を利用しているものがある。 多くの研究者が、コールター原理に基づく様々な機器を設計し、これらの機器で測定したデータを掲載した査読付き論文を書いている。これらの装置のいくつかは商品化されている。コールター原理を機器に実装する場合、機器製造の信頼性は、感度、ノイズ遮蔽、溶媒適合性、測定速度、サンプル量、ダイナミックレンジとの間でトレード・オフの関係にある。
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