コンソール用ディスプレイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 23:57 UTC 版)
「ディスプレイ (コンピュータ)」の記事における「コンソール用ディスプレイ」の解説
コンピューターはコマンドにより制御される。初期のコンピューターシステムではコマンドはパンチ・カードや紙テープを作成し、リーダでコンピュータに読み込む。コンソールパネル(操作卓)に設置されたランプで表示されたマシーン語を解読し、スイッチ類を操作してコマンドを入力しコンピュータを制御する。これらの操作は煩雑で高レベルのスキルが必要、かつ時間も手間もかかるという欠点があった。この問題を解決するために応答が速く、操作性が良いコンソール用タイプライタが設置され、コマンドの入力やコンピュータ内のレジスタ情報を印字した。このタイプライタをディスプレイに置き換えて更に応答速度や操作性が向上した。 富士通の最初のディスプレイF6221Aは1968年に京都大学に納入された大型コンピュータFACOM230-60のコンソールに使用された。総製造台数は2台、1台は納入、他の1台は社内に設置しソフトウエアの開発やバックアップ用とした。ディスプレイは入出力制御装置を介してコンピュータに接続され、表示部、文字発生部、キーボード(以下KB)と表示画面に対応した文字コード・データを蓄積するメモリ(以下リフレッシュメモリという)を含む制御回路で構成されている。表示部はオレンジ色12インチCRTで1000文字(50字×20行)のアルファベットと仮名を表示する。CRT(ブラウン管)は電子ビーム(陰極線)を走査して文字の形を発光させるが、一瞬の間に消えてしまうのでリフレッシュメモリに蓄積した文字コード・データを1秒に25回以上読み出して文字発生部で文字の形に変換した信号をCRTに送り発光させて静止画像を得る。文字発生はフライングスポット管方式(後述)を使用した。KBはタイプライタ配列の文字鍵盤とファンクションキーで構成され、文字データとコマンドの入力に使用される。制御回路ではKBまたはコンピュータからの文字データをリフレッシュメモリに格納し、コマンドによりコンピュータ間の送受信制御やリフレッシュメモリ内の文字コードの追加・挿入・削除・訂正等の処理を行う。制御回路はトランジスタとダイオードの論理回路で構成した。 1969年に開発したディスプレイF6221BはコンピュータF230シリーズのコンソールとして使用された。総製造台数は約50台。表示部はグリーン色12インチCRTで1000文字(50字×20行)のアルファベットと仮名文字を表示する。文字発生は3インチ・モノスコープ管(後述)を、リフレッシュメモリにはコアメモリを使用した。 1970年に開発したディスプレイF6222Aは小型コンピュータF230-15に使用され、ローコストが要求された。表示部はグリーン色9インチCRTで80文字(16字×5行)のアルファベットと仮名文字を表示する。文字発生は『田』に『X』を重ね合わせた形を基本図形とし、必要な部分を表示して文字の形とした。リフレッシュメモリにはMOSメモリを使用した。 1971年に開発したディスプレイF6221DはコンピュータF230-5シリーズの標準コンソールとして使用された。総製造台数は約400台。表示部にはマルチコーティングしたガラスパネルを表示面に貼り付けたグリーン色の15インチCRTを使用し、天井灯等の反射光軽減を計った。この技術は高級カメラのレンズで採用されていたもので、旭光学に依頼、大面積で均一にするために苦労して開発した。文字発生は2インチ・モノスコープ管(後述)を使用した。リフレッシュメモリにはMOSメモリを使用し、制御回路にはフリップフロップやゲートをモジュール化したICを使用して大幅な小型化を計った。 1974年に開発したカラーディスプレイF6221KはコンピュータF230-8シリーズの標準コンソールとして使用された。表示部は高解像カラーCRT(後述)で、1000文字(50字×20行)のアルファベットと仮名文字を7色のカラーで表示する。内外各社のディスプレイはまだモノクロディスプレイの時代で、世界初のカラーディスプレイとなった。文字発生は半導体ROMを使用し、7×9ドットのマトリックスの必要な部分を表示して文字の形とした。リフレッシュメモリにはMOSメモリを使用した。
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