コンソール・スティールがペダル・スティールになる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 09:31 UTC 版)
「ペダル・スティール・ギター」の記事における「コンソール・スティールがペダル・スティールになる」の解説
一台の楽器に複数のネックを作るのはコストがかかるため、ほとんどのプレイヤーにとっては手の届かないものとなり、より洗練された解決策が必要とされた。この時点での目標は、第2のネックをエミュレートするために、全ての弦のピッチを一度に変更できるペダルを作ることだった。1939年、「エレクトラデール」と呼ばれるギターは、ソレノイドを制御するペダルを搭載し、弦の張力を変化させる電気機構を作動させた。しかしながら、このギターは成功しなかった。同年、アルヴィーノ・レイ(英語版)は機械工と協力して弦のピッチを変えるペダルを設計したがうまくいかなかった。インディアナポリスのハーラン兄弟は「マルチ・コード」と呼ばれる万能ペダルを開発した。このペダルは、任意の弦、またはすべての弦の音程を簡単に調整することができたが、すべての弦の張力を同時に上げる(音程を高くする)のは非常に困難だった。 ギブソン・ギター・カンパニーは1940年にペダルが左後脚から放射状に配置された「エレクトラハープ」を発表した。 数あるペダルシステムの中で最も成功したペダルシステムは、商業的に成功したギター用のビブラート・テールピースを発明したバイク点の店長であり、レーサーでもあるポール・ビグスビー(英語版)によって、1948年頃に設計されたものである。ビグスビーはスティール・ギターの2本の前脚の間のラックにペダルを取り付けた。ペダルは機械的なリンクを操作して弦の音程を上げるために張力をかけていた。 これは、それほど簡単なことではない。ペダル機構自体が独自のチューニング・システムを持っていなければならない。例えば、ギターのチューニングは、ギターに付いているお馴染みのチューニングペグを使って完璧にチューニングされているとする。次に、プレーヤーがペダルを踏んで結果が調子外れであっても、ペダルを離すと、再び調子が合っている。ギターの下には、レバー、スプリング、長いロッドがある。プレーヤーの右、楽器の端には、ロッドの端が露出している開口部がある。演奏者は音程の外れた音をコントロールするロッドに、ラジオのつまみのような小さな六角レンチを装着する。ペダルを押し下げたままノブを左右に回して、オリジナルのチューニングとは完全に独立したプロセスでペダルを微調整する。ビグスビーはスピーディ・ウェスト(英語版)、ノエル・ボッグス、バド・アイザックスなど、当時の一流のスティール・プレイヤーのために自分のデザインを取り入れたギターを製作していたが、ビグスビーは56歳の時にガレージで一人で作業をしていたため、需要に追いつくことができなかった。ビグスビーの最初のギターの1本は1949年にエディ・カークの "Candy Kisses" で使用された。ビグスビーが製作した2本目のモデルはスピーディ・ウェストに送られ、彼はこのギターをひんぱん使用した。
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