ウルトラ・マイクロ・ニッコール
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「ニコン産業用・特殊用レンズの一覧」の記事における「ウルトラ・マイクロ・ニッコール」の解説
1960年頃から集積回路の製造に必要なフォトマスク用高解像力レンズの問い合わせが増え、従来レンズでは解像力が不足したため、1961年3月光学設計部の脇本善司が主導して超高解像力レンズの開発を始めたのがウルトラ・マイクロ・ニッコール(Ultra-Micro-NIKKOR )である。東京大学理学部の小穴純教授から単色光であれば収差の補正が可能になるのではないかとの助言を受け、使用する光線や倍率、イメージサークルを限定することで、理論上の限界に迫る高い解像力を持つ設計が完成した。品名末尾の「e」「g」「h」はそれぞれ水銀ランプのe線(546.07nm)・g線(435.83nm)・h線(404.65nm)の単色光での使用に最適化されていることを示す。なお、品名末尾に何もないものはe線用である。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール12mmF1.2g - ライカLマウント。アタッチメント40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/20倍。最小絞りF4。通常のカタログ品ではない。ニコン銘であることから、1970年代にごく少数が製作されたとみられる。前側アタッチメントにねじ込むクローズアップレンズ、「マイクロフィッシュアダプター」が付属し、マイクロフィッシュを扱う用途であったとみられる。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール28mmF1.7e - ライカLマウント。8群10枚。アタッチメント40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/10倍。調整可能な絞りなし。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール28mmF1.7g - ライカLマウント。8群10枚。アタッチメント40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/10倍。調整可能な絞りなし。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール28mmF1.8(1965年発売) - ライカLマウント。7群9枚。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/10倍。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール28mmF1.8e - ライカLマウント。7群9枚。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/10倍。生産時期が後のものは、e線用であることと使用倍率が明記されている。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール28mmF1.8h(1967年発売) - ライカLマウント。7群9枚。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/10倍。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール29.5mmF1.2(1964年11月27日発表) - 蛍石を含む6群9枚。基準倍率1/25倍。ニッコール初のマルチコートレンズとされている。東京大学理学部教授小穴純の要請で脇本善司らが開発、『チャタレイ夫人の恋人』全文を10円切手大のマイクロフィルムに写し込むことに成功した。日刊工業新聞選定の「1964年十大新製品賞」受賞、1965年4月12日には脇本善司が科学技術庁長官賞を受賞した。米国特許第3450463号・特公昭42-012102。特許によると発明者は安田昭となっており、脇本の名前はない。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール30mmF1.2 - ライカLマウント。50mmP=0.75・φ55mmP=0.75のねじマウントを併設する。6群9枚。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/25倍。名称が異なるのみで、上記29.5mmと焦点距離を含め同一仕様である。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール30mmF1.2h(1969年発売) - ライカLマウント。φ30mmP=0.5・φ50mmP=0.75・φ55mmP=0.75のねじマウントを併設する。6群9枚。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/25倍。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール35mmF2 - ライカLマウント。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/100倍。絞り環は1/2段ごとにクリックストップがある。最小絞りF8。通常のカタログ品ではない。日本光学工業銘であり、またe線用であることと使用倍率が刻印されている。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール50mmF1.8e(1969年発売) - φ52mmP=1ねじマウント。9群12枚。アタッチメントはφ52mmP=0.75ねじ込み。基準倍率1/5倍。調整可能な絞りなし。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール50mmF1.8h(1969年発売) - φ52mmP=1ねじマウント。9群12枚。アタッチメントはφ52mmP=0.75ねじ込み。基準倍率1/5倍。調整可能な絞りなし。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール55mmF2(1965年発売) - ライカLマウント。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/4倍。絞り環は1/2段ごとにクリックストップがある。最小絞りF8。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール55mmF2h(1967年発売) - ライカLマウント。アタッチメントはφ40.5mmP=0.5ねじ込み。基準倍率1/4倍。絞り環は1/2段ごとにクリックストップがある。最小絞りF8。h線用に収差補正されており、使用波長が短くなったことにより解像力が高くなっているほかはe線用と同一。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール105mmF2.8(1962年8月完成) - ウルトラ・マイクロ・ニッコール最初の製品。φ62mmP=1ねじマウント。アタッチメントはφ62mmP=0.75ねじ込み。基準倍率1/30倍。18枚羽根の普通絞り。最小絞りF8、絞り環には1/2段ごとにクリックストップがある。解像力400本/mm、イメージサークルφ24mm。発売直前に「ウルトラ」を冠することが決められたため、レンズにのみ赤文字で「Ultra」が追加で刻印されており、収納する木箱の銘板・このレンズのために用意されたアクセサリなどは「マイクロ・ニッコール」のままであった。この経緯によるためか初期生産品とみられる製造番号1824xxには「Ultra」の刻印がない。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール125mmF2.8(1965年発売) - φ62mmP=1ねじマウント。アタッチメントはφ72mmP=0.75ねじ込み。6群7枚。基準倍率1/25倍。最小絞りF8、絞り環には1/2段ごとにクリックストップがある。15枚羽根の普通絞り。105mmの後継品種である。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール135mmF4(1965年発売) - φ62mmP=1ねじマウント。アタッチメントはφ62mmP=0.75ねじ込み。第1群が貼りあわせの変形ダブルガウス型4群7枚。基準倍率1/25倍。12枚羽根の普通絞り。最小絞りF11、1/2段ごとにクリックストップあり。初期生産品には基準倍率が「β=1/25」と赤く刻印されているが、その後のものは「M=1/25」となっている。現存する個体はどれも前群が黄色く変色しており、またγ線測定器で放射線を検出するため、トリウム等の放射性物質を含んだ硝材を使用しているとみられる。後玉側からはほとんど放射線が検出されないため、前群からの放射線については考慮されていると考えられる。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール155mmF4 - φ72mmP=1ねじマウント。第1群が貼りあわせの変形ダブルガウス型4群7枚。アタッチメントはφ72mmP=0.75ねじ込み。基準倍率1/10倍。森征雄設計、特公昭43-016177。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール165mmF4(1970年発売) - φ82mmP=1ねじマウント。4群7枚。基準倍率は1/40倍だが、1群2枚の専用クローズアップレンズを使用し1/20倍にも変更可能。アタッチメントはφ86mmP=1ねじ込み。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール225mmF1g(1969年発売) - φ122mmP=1ねじマウント。基準倍率等倍。g線用だが、e線でピントを合わせられるように配慮されている。最小絞りF4。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール250mmF4 - e線用、基準倍率1/20倍。最小絞りF11。 ウルトラ・マイクロ・ニッコール300mmF1.4g(1969年発売) - φ122mmP=1ねじマウント。基準倍率等倍。最小絞りF4。
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