インターフェロンβ
【概要】 インターフェロンベータには、IFNβ(持田)と、フエロン Feron(東レ-第一)がある。腫瘍細胞表面に結合し、その増殖を抑制する直接作用と、宿主を介して抗腫瘍免疫能を活性化することにより、腫瘍の増殖を抑制する間接作用とが考えられている。また、細胞膜上のレセプターを介して細胞に働き、2-5A合成酵素、プロテインキナーゼ等を誘導し、細胞を抗ウイルス状態に保つと考えられている。
【用法・用量】 脳腫瘍では局所投与。その他では、点滴または静注。1回100万~600万単位。
【適応】 1)膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、2)皮膚悪性黒色腫、3)B型慢性活動性肝炎、4)C型慢性活動性肝炎、5)亜急性硬化性全脳炎がある。 副作用は悪寒、発熱、倦怠感など。半減期が短いので朝夕2回に分けるほうが良いという意見がある。
【副作用】 →インターフェロン共通の副作用。
《参照》 C型肝炎
インターフェロンβ (IFNβ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 05:25 UTC 版)
「多発性硬化症」の記事における「インターフェロンβ (IFNβ)」の解説
インターフェロンβはTh1型の免疫応答をTh1抑制するTh2型へ偏倚させる作用(Th2シフトとよばれる)によって再発予防効果をもたらすと考えられている。しかしTh2細胞の産出するIL-4やIL-5は抗体産出の方向へ免疫応答を促進させるため自己抗体が関与する膠原病合併患者ではIFNβの積極的使用は推奨されていない。IFNβは糖鎖の有無によってIFNβ-1b(ベタフェロン、隔日皮下注)とIFNβ-1a(アボネックス、週1回筋注)がある。IFNβはMSの再発を予防し、身体機能障害の進行を抑制することが期待される。RRMSが最もよい適応であるが二次性進行性MSであっても臨床的あるいは画像上の再発を認める場合には治療効果がきたいできる。投与開始が早期であるほど、投与期間が長期であるほど高い治療効果が期待できる。RRMSならば再発率を約30%も低下させ、脳MRI上活動性病巣の出現も60〜80%抑制し、臨床的に中等度以上の再発を約50%低下させる効果も示されている。CISに対してはIFNβ-1aでは2年以内のCDMSへの進展する割合が偽薬群で38.6%でありIFNβ-1a群では21.1%であり相対リスクを44%低下(p=0.002)させた(CHAMPS試験)。IFNβ製剤では容量に関しては一般的に天井効果があると知られている。有効性に製剤間で差がないとする報告が多い一方、高用量で高頻度のIFNβがより有効との報告もある。副作用としてはインフルエンザい様症状、注射部位反応、うつ状態、臨床検査値異常(白血球減少、リンパ球減少、肝機能障害が多い)、月経異常などが知られている。インフルエンザ様症状に関してはNSAIDsが有効で無効時は経口ステロイドを考慮する。検査値異常は投与開始後6ヶ月以内に出現し時間の経過とともに安定することがほとんどである。用量依存性であり少量より開始し有害事象の発現をみながら漸減することが推奨される。投与開始後1ヶ月は1〜2週間ごとにその後は1〜2ヶ月毎に血液検査を行うことが望ましい。自己抗体や甲状腺機能は3〜6ヶ月毎の検査が望ましい。IFNβ治療は妊娠中は禁忌であり避妊が必要である。また小紫胡湯の併用で間質性肺炎がおこることがある。 IFNβ製剤は蛋白製剤であるため、IFNβに対する免疫応答の結果、中和抗体が出現することがある。出現頻度は製剤の種類や投与経路、投与間隔によって異なり、一般的にはIFNβ-1aよりもIFNβ-1b、筋注よりも皮下注、投与間隔が短いほど出現頻度が高い。IFNβで再発予防効果が乏しい時は中和抗体の影響を考慮する必要がある。
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