イタリア協奏曲とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 音楽作品 > 楽曲 > J.S.バッハの楽曲 > イタリア協奏曲の意味・解説 

バッハ:イタリア協奏曲

英語表記/番号出版情報
バッハ:イタリア協奏曲Italienisches Konzert BWV 971作曲年1734年  出版年1735年  初版出版地/出版社Weigel 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 Allegro4分00
2 第2楽章 Andante5分00
3 第3楽章 Presto3分30秒

作品解説

2007年6月 執筆者: 朝山 奈津子

 1735年バッハは『クラヴィーア練習曲集第2巻世に送り出した二段鍵盤のために書かれたその第1曲が「イタリア趣味による nach italienischem Gusto」、こんにち通称《イタリア協奏曲》とよばれる作品である。
 明朗快活両端楽章優美な緩徐楽章、急-緩-急の3楽章からなり、これら3つの冒頭の音型は明確な関連持っている
 出版譜には強弱記号すなわち「f」と「p」が珍しく書き込まれているが、これは楽器自体が出すべき音量を表すのではない。当時コンチェルト・グロッソ複数演奏グループ交代ないし合奏しながら進む協奏曲)の慣習にならえばトゥッティソロ転換を、二段鍵盤チェンバロ上で鍵盤変換指示するものと捉えるべきである。それは、音量変化というよりも音色変化であり、近代的なピアノにおいてはチェンバロ以上に豊かな表現が可能である。この作品現代においてお広愛されている所以はここにもあろう。
 しかし、イタリアの、たとえばヴィヴァルディ様式代表されるような器楽協奏曲チェンバロの上写したものと単純に考えることはできない
 バッハ出版譜に記した「f」と「p」からは、リトルネッロ反復される部分)とエピソード展開される部分)、独奏伴奏パート交代明確に見えてこない。第1楽章では、確かに両端部のリトルネッロはっきりしている。しかし中間部では、絡み合う様々な旋律線の中から幾度も主要楽節湧き上がろうとするが、完全に主題再現するには至らずフレーズ切れ目を見出さないまま組み解れ進んでゆく。バッハはここで明らかに単純明快対比よりも自由で複雑な展開を望んだのである第3楽章は各声部比較独立しており、対位法ということもできる。さらに緻密な動機労作盛り込まれ楽曲簡明ながら高い密度を保つ。
 こうした点から、この作品イタリア趣味によるというよりも、イタリア的な音型や語法ふんだんにちりばめたものと言うきだろう第1楽章冒頭リズムは、18世紀前半ハンブルク活躍した著述家J. マッテゾンによれば最新流行」であり、第2楽章におけるオスティナート(同じリズム型や旋律型繰り返す伴奏)に支えられ装飾豊かなアリアは、ヴィヴァルディ作品そのもの髣髴とさせる。だが、やはりバッハ同時代美学者J. A. シャイベが「外国人たちにとってほとんど模倣べくもない」と賞賛たように作品本質は、ドイツ的な主題労作図式的な形式克服にある。その精神はやがて、初期古典派のクラヴィーア・ソナタへと結実する





固有名詞の分類

このページでは「ピティナ・ピアノ曲事典」からイタリア協奏曲を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からイタリア協奏曲を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書からイタリア協奏曲を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「イタリア協奏曲」の関連用語

イタリア協奏曲のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



イタリア協奏曲のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2024 PianoTeachers' National Association of Japan

©2024 GRAS Group, Inc.RSS