アーセナル・シップとSC-21
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「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」の記事における「アーセナル・シップとSC-21」の解説
本級の計画は、1980年代末にジョゼフ・メトカーフ3世中将が提唱した打撃巡洋艦構想にその起源を有する。従来なら空母と艦載機が行ってきた陸地に対する攻撃を、沖合の「打撃巡洋艦」からの対地ミサイル攻撃で代替するというもので、陸地に最大限接近するための徹底的なステルス化設計と、多数の目標に叩き込むための大量のVLSの搭載を特色としていた。1990年代中盤、この構想は、時の海軍作戦総長ジェレミー・ボーダ大将に取り上げられ、アーセナル・シップとして具現化した。打撃巡洋艦構想では独立作戦能力が確保されていたのに対し、アーセナル・シップ構想では乗員もセンサーも最低限に留められ、索敵・測的・誘導などは戦術データ・リンクや共同交戦能力などを介して外部からもたらされる情報に依存するという、極めて大胆なコンセプトであった。 そして1995年より、アメリカ海軍の将来水上戦闘艦を開発する一大プロジェクトとしてSC-21(Surface Combatant for 21st Century)のコンセプト開発が開始され、アーセナル・シップ構想もその一環たる海上射撃支援実証艦(MFSD)として組み込まれた。空母保有数削減論につながることへの危惧などから、MFSD計画そのものは1997年11月に打ち切られたものの、その成果はSC-21計画本体に合流し、活かされることとなった。 SC-21は、当時現役であったオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート、スプルーアンス級駆逐艦、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の後継となる水上戦闘艦を構想しており、同一の設計にもとづいて、フリゲート・駆逐艦の後継となるDD-21と、巡洋艦の後継となるCG-21が開発される予定であった、その任務要求においては、下記のような重視事項が提示されていた。 巡航ミサイルおよび短距離弾道ミサイルによる対地精密火力投射、および水陸両用作戦部隊等に対する持続的な火力支援の提供による戦力投射 他の海軍部隊および統合作戦部隊の支援、シーレーン維持、重要港湾・空港の防護のため、陸上・洋上・水中・経空の各種脅威目標の撃破ないし無力化による戦闘空間支配 Sensor-to-Shooterコンセプトに基づく指揮・統制および監視 設計にあたっては下記コンセプトに準拠1. ライフサイクルコストおよび性能を最適化するシステム艦開発2. 最大限のモジュラー設計および商用オフザシェルフ化3. 生残性および損傷を負った状態での戦闘継続 タイコンデロガ級よりもペリー級・スプルーアンス級のほうが先に退役する計画であったことから、まずDD-21を開発し、それを拡大してCG-21が開発される計画とされた。1998年には、計画のフェーズI(システム概念設計)に応じる2つのコンソーシアムとして、ノースロップ・グラマン社を中心としたゴールドチームとジェネラル・ダイナミクス社(バス鉄工所)を中心としたブルーチームが発足していた。計画では、初期システム設計のフェーズIIまでは両チームの競争となり、2001年度半ばからのフェーズIIIで単一チームが選定されることとされ、2005年度より毎年3隻ずつを建造、所要隻数は32隻とされていた。
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