アーサー・リー・アレン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:19 UTC 版)
「ゾディアック事件」の記事における「アーサー・リー・アレン」の解説
ロバート・グレイスミスの著書Zodiac(英語版) (邦題『ゾディアック』) では、1992年に死亡したアーサー・リー・アレン (英: Arthur Leigh Allen) という人物を状況証拠を元に被疑者と見なしていた。警察はゾディアック事件捜査の初期にアレンに聴取しており、20年のうちに数回、捜索令状が発行された。2007年、グレイスミスは、数名の刑事がアレンを最も疑わしい被疑者であると見なしていたと発言した。2010年、担当刑事だったデーブ・トスキは、アレンに対する証拠はすべて最終的にはアレンが犯人の可能性を否定するものと判明したと発言した。2018年のトスキの娘の発言によると、父はいつもアレンが犯人であると考えていたが、警察にはそれを証明する証拠がなかったという。 1969年10月6日、アレンはバレーホ警察のジョン・リンチ (英: John Lynch) 刑事から聴取を受けた。アレンは1969年9月27日のハートネルとシェパードが襲われた事件の際にベリエッサ湖の近くにいたと言われていた。アレン自身によれば、その日はソルト・ポイント・ステート・パーク(英語版)でスクーバダイビングを楽しんでしたという。1971年に、アレンは再び警察の注意を引いた。アレンの友人であるドナルド・チェイニー (英: Donald Cheney) がマンハッタンビーチ(英語版)の警察に、アレンが人を殺したいという欲求があると語っていたこと、ゾディアックという名を使っていたこと、夜間に見えるように銃火器に懐中電灯を備え付けていたことを報告した。チェイニーによれば、このアレンとの会話は1969年1月1日までにはあったことだったという。 その後、バレーホ警察のジャック・ミュラナックス (英: Jack Mulanax) は、アレンは1958年に名誉除隊以外の理由で海軍を除隊し、1968年3月に生徒に対する性的違法行為の申し立てにより小学校の教師の職を失ったと記した。アレンを知る人からのアレンの評判は概して良かったが、幼い子供に執着し、女性に怒りを向けていたとも言われていた。 1972年9月、サンフランシスコ市警察に対して、アレンの住居への捜索令状が発行された。1974年、アレンは12歳の少年への性的暴行を理由に逮捕された。アレンは罪を認め、2年間の禁固処分を受けた。 1991年2月、バレーホ警察に対して、再度、アレンの住居への捜索令状が発行された。1992年、アレンが死亡してから2日後、バレーホ警察に対して再度令状が発行され、アレンの住居から所有物が押収された。1992年7月、ゾディアック事件の被害者であるマイク・マジョーは、面通し用の写真から、アレンを1969年に自分を撃った男であると認めた。しかし、スタイン殺害の際にゾディアックを目撃したとされる警察官のドナルド・ファウクは、2007年のドキュメンタリーHis Name Was Arthur Leigh Allenに出演した際に、アレンは自分が見た男よりも45キログラムほど体重が重すぎる、顔も丸すぎると述べた。マジョーとフェリンが銃撃を受けた後にゾディアックからの電話を受けたナンシー・スローバー (英: Nancy Slover) は、アレンの声は電話で聞いた男の声とは似ていないと述べた。 他にもアレンが犯人であることを示唆する証拠は存在したが、どれも状況証拠だった。リバーサイド警察にベイツ殺害の犯人から送られた手紙は、ロイヤル社(英語版)製のタイプライターで打たれており、フォントはElite(英語版)風だった。1991年2月の家宅捜索で、アレンの住居から同じブランドのタイプライターが発見された。また、アレンはゾディアックというブランドの腕時計を所有し、身に着けていた。アレンはバレーホに住んでおり、犠牲者の1人であるフェリンが住んでいた家や、殺人現場から数分の距離にアレンの職場があった。 2002年、サンフランシスコ市警察はゾディアックから送られた手紙の切手や封筒から唾液を採取し、DNA鑑定を試みた。サンフランシスコ市警察は採取できたDNAの断片とアレンのDNAを比較した。友人であり、アレンについて警察に最初に報告したドナルド・チェイニーのDNAとも比較された。どちらのDNAもゾディアックのDNAとは一致しなかった。 警察で筆跡鑑定人の仕事をしていたロイド・カニンガムは、数十年間ゾディアック事件に取り組んでいた。カニンガムは、警察はアレンの手書きの文書で満載の箱を持ってきたが、どれもゾディアックの筆跡とは似ていなかったと発言している。
※この「アーサー・リー・アレン」の解説は、「ゾディアック事件」の解説の一部です。
「アーサー・リー・アレン」を含む「ゾディアック事件」の記事については、「ゾディアック事件」の概要を参照ください。
- アーサー・リー・アレンのページへのリンク