【E-767】(いーななろくなな)
Boeing E-767.
ボーイング社が、自社製の中型双発ジェット旅客機・B767-200ERをベースに開発・生産したAWACS。
本機の開発は、1980年代、日本政府がアメリカ空軍・フランス空軍などが採用しているE-3「セントリー」を航空自衛隊に導入することを検討したのに端を発する。
この当時、空自はベレンコ中尉亡命事件の教訓から、既にグラマンE-2「ホークアイ」早期警戒機を導入していたが、同機は元々、アメリカ海軍の航空母艦で運用される艦上機であり、また、警戒管制システムもアメリカ軍のデータリンクに関連付けられた構成になっていたことから、空自での運用には向いているとはいえなかった。
しかし、1990年代になって実際に計画が動き出したときには、E-3を新規調達することができなくなっていたため、E-3と同様のシステムをB767に載せることをボーイング側が提案。日本政府はこの案を受け入れ、計4機を発注した。
システムを機体に合わせて細部まで設計し直したため、開発費は日本政府が全額負担したが、(元々が1950年代の設計である)B707よりも設計の新しい機体を採用したため、E-3に比べて居住性や燃費が優れる機体に仕上がった。
なお、1号機・2号機のみ操縦室に第2監視員席(一般のエアライン向けモデルでは「第2オブザーバ席」と呼ぶもの)が追加されている。
本機の生産は1993年に開始され、1994年に民間機として日本政府に引き渡された機体が初飛行。
その後、アメリカ軍によりレーダーシステムの搭載などの改修を行ったうえで1998年に空自へ引き渡され、1999年から運用が開始された。
現在、本機は4機とも静岡県・浜松基地の警戒航空隊第601飛行隊第二班(現:警戒航空隊・飛行警戒管制隊)で運用されている。
なお、本機は空自以外にも韓国・台湾・オーストラリア空軍が導入を検討したが、1990年代末期の「アジア通貨危機」の影響で導入が見送られ、その後、韓国とオーストラリアはより小型のB737をベースとしたB737 AEW&Cを導入したため、全世界で4機しか存在していない。
E-3とは違い、本機にはこれといった愛称はつけられていないが、アメリカ軍将兵の間では自国軍のAWACSと混同することを避けるため「J-WACS」と呼ぶことがある。
スペックデータ
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