『独考』の評価とは? わかりやすく解説

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『独考』の評価

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/13 05:32 UTC 版)

独考」の記事における「『独考』の評価」の解説

馬琴著作物通じて真葛の名は古くから知られていたが、真葛著作江戸明治の両時代通じて刊行されなかったこともあり、明治以降真葛言及した著作がみられた ものの、断片的ないし不正確な言及とどまり真葛著作に拠らないものが多かったそうしたなかで、上述中山英子早くから『独考』に注目したひとりであり、中山真葛を「女性解放先駆者」と評価している。 柴桂子は、1969年昭和44年)、江戸時代女性著作広く渉猟して江戸時代女たち』を刊行したそのなかでは、真葛を「哲学者であり、思想家であり、社会改良家」であるとしている。はまた『朝日日本歴史人物事典』(朝日新聞社1994年11月)「只野真葛」項のなかで、真葛を「体系的な学問をしたわけではないが、国学儒学蘭学などのうえに独自の思想築いていった」と記し、『独考』については、「偏りもあるが、江戸期女性の手になる社会批判書であり、女性解放を叫ぶ書として評価できよう」としている。1977年昭和52年)に刊行された『人物日本の女性史10 江戸期女性生きかた』では、杉本苑子が「滝沢みち只野真葛」のなかで『独考』を「ユニーク」で「大胆な」「文明批評」と評している。また、大口勇次郎は、真葛は「両性肉体差異性確認することを通じて」「才知の面における両性対等な関係を主張」したと指摘している。 門玲子は、1998年の『江戸女流文学発見』のなかで、真葛馬琴やり取りを「ここで江戸後期すぐれた男女文学者が、全力ぶつかりあって、火花を散らしたのをみるように思う」 と述べ真葛の『独考』と馬琴の『独考論』を比較している。それによれば真葛独考』は、馬琴指摘するように「不学不問の心を師とし」たもので、あくまで真葛自身独創的な議論であり、自問自答しながらたどたどしく考察し既成のことばを用いないことから、晦渋な部分含まれる のに対し馬琴独考論』は「儒教的教養をもつ作家堂々とした反論」 であり、文章きわめて明晰であり、曖昧さ晦渋さもそこにはみられない としており、馬琴立場考え擁護しながら「もし真葛儒学学んでいたら、もっと楽に息がつけたのではないだろうか」 と問いかけるいっぽう、「真葛は誰をも師とせず、儒仏の学を学ばず、まったくの独り学びでこの著作書きあげた。だからこそ、その独創的なういういしい思索が、教養の力によって摘みとられずに残されたとも考えられる」 と考察している。 また、肉体思想」という概念用いて独考』を評価したのは鈴木よね子であった門玲子も、性の心の拠り所とする真葛発想について「フロイトリビドー連想させて、興味深い」 としている。 経済思想については、戦前すでに白柳秀湖が「彗星婦人比較観察 女流経済論者工藤綾子」(1914年、『淑女画報3-9)、および「天明の大飢饉工藤綾子」(1934年、『伝記2-1)を著しており、経済論者としての側面注目されている関民子は、未熟ではあるものの王権神授説重商主義政策などによって体制危機克服しようという絶対君主制志向内包している点を評価している。 「人を倒してわれ富まん」の風潮は、現代社会経済状況とも無関係ではない。「人よかれ、我もよかれ」という真葛訴え現代にも通底する願いであるとして新聞コラムにも掲載された。

※この「『独考』の評価」の解説は、「独考」の解説の一部です。
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